あると思います
大学生の頃、好きな人ができた。告白して彼女になってもらった。(今は妻だ)
彼女の家に遊びに行くと、村上春樹の小説があった。「羊を巡る冒険」「ダンスダンスダンス」といった小説を手にとり読んでみたらめっちゃ面白かった。僕の身体にぴったりとフィットする文体だった。主人公や周りの女の子たちのセリフはメタファーやユーモアに富んでて、新たな発見やスルメのような安らぎを与えてくれた。
真心ブラザーズのCDもあって、カラオケに行くと彼女は「ループスライダー」や「サマーヌード」を歌っていた。僕も歌詞とメロディーを覚え、一緒にライブに行くようになり、ライブの時の手拍子や掛け声も自然と出来るようになった。今では僕が率先してCDを買い、車に乗ってる時に流すので子供たちも口ずさむようになった。
これまで自分が見向きもしなかったり、全く知らなかったりするものも、好きな人が好きなものは試してみたくなる。好きな人が好きなんだから、読んでみよう、聞いてみようという欲求が自然に発露する。ハードルが低くなる。そして実際に試してみて「いいね！」と思ったら、好きな人にすぐに伝えたくなり「すごくいいね！」と伝える。すると、好きな人が嬉しそうな顔をするので、好きな人も、好きな人が好きなものも、もっと好きになる。
このようにして趣好の幅は広がる。
