学びと食、ときどきランニング

ウイスキーマエストロによるIdeas worth spreading

オススメの本は何ですか?と問われて答えるのはバーテンダーの如く難しい

オススメの本は何ですか?と問われることがある。

 

あんな本、こんな本と紹介し、時には貸したりするけれど、大抵のばあい僕が感動したほどは感動してくれない。

 

それはそうだ。

僕とアナタの本の経験値は違うのだから。

僕が読んできた本の歴史は僕だけのものである。

歳を経るにつれ、読みたい本は変わってきた。

その日の体調によっても、変わってくる。

 

だから、オススメの本を紹介するのは難しい。

 

バーテンダーが一見のお客さんにされて困る質問は「オススメのお酒は何ですか?」だそうだ。

なぜなら、そのお客さんが普段どんなお酒を飲んでいるか分からないし、この店に来るまでに他のお店でどんな食事をしてどんなお酒を飲んできたか分からないからだ。お客さんの体調(酔っ払い度合い)によっても出すお酒は変わってくる。

 

だから、オススメの酒を出すのは難しい。

 

初めて行くバーでは次のように頼めばいい。

「今まで寿司屋で日本酒を飲んでたんですけど、ちょっとさっぱりしたロングカクテルをください」

あるいは

「外が寒かったので、ほっと一息つけるような温かい飲み物をください」

 

前者の注文だったらジントニック、後者だったらホットワインやホットウイスキーあるいは温かいお茶をサービスしてくれるかもしれない。

そこはバーテンダーの力量次第である。

優れたバーテンダーであれば次のように聞いてくるだろう。

「普段はどのようなお酒をお飲みになられますか?」

「ロングですとジントニックなんかいかがでしょうか?ジンの種類はいかがなさいますか?」

「クリスマスが近いですし、グリューワイン(ワインと香辛料などを温めてつくるホットカクテル)はいかがでしょう?」

 

このようにしてバーテンダーとお酒について語り合うのもバーの楽しみ方の一つである。

 

本についても語り合った上で紹介したらハズレを引きにくいだろう。