「かがやく日本語の悪態」川崎洋
無限の表現力。悪態で日本語が息を吹きかえす。落語、遊里、歌舞伎、映画、文学、方言、キャンパス用語から詩人が選りすぐった、魅力あふれる悪態大全。
Amazonの解説文にあるとおり、あらゆる悪態を選りすぐった良書である。
図書館で借りてチラチラと読んでいたのだが、返却期限が迫ってきてしまったため、最後は流し読みしてしまった。
しかし、125頁の「自分の感受性くらい」で目が止まった。
茨木のり子の詩である。
特に目をひいた節を紹介する。
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
ぱさぱさに乾くのだ。心は。
満員電車、京都駅のごったがえし、大阪駅のごったがえし、東京駅のごったがえし、人、人、人、スマホ、スマホ、スマホ。
人工物に触れすぎると、ぱさぱさになる。
水をやらなきゃ乾いてゆく。
森に行け、海に行け、山に登れ、小川の清水を飲め、歩け、走れ、美術館に行け、一人でほっこりしろ、ウイスキーを飲め、一人で飲め、行きつけの店で飲め、マスターと息のあった掛け合いをしながら飲め、じっくりほっこり飲め。
みずから水やりをするのだ。
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
初心は消えかかっていた。日常を生きていた。ただただ生きていた。
忘れていた感情がある。TEDxHimiで思い出した感情だ。
ひよわな志は少しはマシになった。
これからだ。やるぞ!
そして最後はこう締めている。
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
自分の感受性くらい自分で守ればかものよ。
自分の感受性を信じろ。他人の言うことに耳を貸すな。
孤独の道かもしれない、困難な道かもしれない。
でも、それが自分がやりたいことなのだろう。
だったらその感受性で突き進めよ。