学びと食、ときどきランニング

ウイスキーマエストロによるIdeas worth spreading

うつと向き合う。二度目のうつから立ち上がろうとしている人へ

これは僕に対するエールである。

 
僕はこれまで生きてきて、二度「うつ状態」という診断書を書いてもらった。
 
一度目は一昨年の12月。二度目は去年の9月だ。
 
これから僕は二度目の復職に向けた面談をするために久しぶりに会社に向かう。
昨年の12月に行った時は少しドキドキしたけど、今日は不安はない。すごく自然体でいられている。むしろワクワクしてる。
 
 
この状態になるまでは長かった。
 
 
会社に入って10年以上になる。
これまでメンタルヘルス研修を何度も受け、メンタル不調者からの相談も何度も受けて、彼らの気持ちや責任感のある性格なんかも実感していた。
ストレスチェックは毎年「あなたはうつになる可能性は0%です」という結果を受けとってきた。
まさか僕がうつになるなんて思ってもしなかった。
 
 
でも、なった。
 
 
きっかけは些細なことだった。
 
仕事の内容が変わり、思うように結果が出せなくなって焦った。ミスが目立つようになった。そんな自分が許せなかった。理想と現実のギャップに苦しんだ。終わりのない仕事を抱えているという錯覚に押しつぶされそうになった。会社にいくのが辛くなり、死にたくなった。車に轢かれて死にたくなった。
 
ヤバい!
 
そう思って、会社を休み、精神科に行って診断書を書いてもらった。ほっとした。堂々と休める。
 
この時は薬を服用することなく、1カ月で復帰できた。負担のない仕事を与えてもらい、気軽に仕事が出来るようになった。また活動的になり、仕事以外のこともたくさんやり出した。調子にのって異動願いを出し、行きたかった部署へ移った。そこでなら僕のやりたいことが出来ると思ったからだ。
 
 
でもうまく行かなかった。
 
 
調子のいいのは1カ月だけだった。
海外出張や社外の仕事以外の活動を詰め込みすぎて休みがほとんど潰れた。僕の心と体も徐々に潰れていった。上司から心配され、産業医と面談をした。「毎日死にたくなるんです」と言うと、「今すぐ休んだほうがいい。でも約束してください。絶対にその行為に及ばないことを。約束してくれますね」産業医の力強い言葉に、僕は振り絞るように「はい」と答えた。その時の産業医の言葉がずっと支えになってきた。
 
精神科で薬をもらった。今回は薬の力を頼りたかった。でも一向に良くならなかった。1カ月は寝て過ごした。何をするのも億劫だった。家を出るのが恐怖だった。
 
薬を変えてもらった。効いたのかどうか分からないけど、徐々に良くなってきた。気分がいい日が増えた。ゲームができるようになった。外に出ても不安にならなくなった。
TEDxKyotoも参加できた。楽しかった。でも時々しんどい日があった。そんな時は寝た。たっぷり寝たら元気になった。しんどい、寝る、元気になる、を繰り返した。
 
12月に上司と面談して、「十分に良くなってから復帰してね。焦らなくていいよ」と言われた。復帰に向けたリハビリをしようと思った。朝早く起きる練習、通勤の練習、外で過ごす練習。コワーキングスペースを巡った。京都の小さな美術館を巡った。京都一周トレイルのコースを走破した。宝塚のはとこの舞台を観に行った。自分でイベントを企画した。イベントを通してたくさんの発見があった。楽しかった。毎日が面白かった。そろそろ復帰できると思った。仕事も面白くできそうだと思った。
 
 
ここまで回復できたのはなぜなんだろう?
 
薬のおかげもあるかもしれない。
 
森や川や青い空を見る時間が増えたかもしれない。
 
家族がそっと支えてくれたからかもしれない。
 
いろんな人と出会って、僕も役に立つんだということが実感できたからかもしれない。
 
うまく言葉にできないけど、僕が社会との繋がりを取り戻したから、今の僕がある。そう思う。
 
だとしたら、過去の僕のように悩んでいる、苦しんでいる人がいたら、僕にできることをやってあげたいと思う。そう思う。