読書通帳というものがあるらしい。
借りた本の履歴が通帳に残せる。
貸し出し倍増した図書館もあるとか。
オフィスや公共施設の椅子や棚なんかを手がけている内田洋行さんが開発したものらしい。
内田洋行さんとは以前、一緒に仕事をしたことがあって、オフィスにも何度か通わせてもらった。オフィスや学校の環境を整えるためにデザインされた椅子やプロジェクターなど、「場作り」を専門としており、ショールームでは様々な取り組みが紹介されていた。教育関係の先生方がイベント会場としても利用されていて、映画館や舞台のような環境で行われるトークショーは楽しいものだった。
そんな内田洋行さんが手がけた事例ということで興味をもって記事を読んだ。
現在、日本全国13自治体の運営する公共図書館に設置されている読書通帳機。開発を手がけた中賀さんはその役割を「銀行の預金通帳のように、読んだ本の履歴を“財産”として残せるものです」と解説する。仕組みはいたってシンプルで、利用者は事前に個々の通帳を受け取ってから、専用の端末に通せば自分が借りた本の記録を残せるようになる。銀行のATMで記帳するようなイメージだ。
通帳というイメージしやすいものだからか、利用者の反響はいいらしい。
利用者からの反響も届いており「お子さんが大人に見せるという事例もあると聞いています。親御さんからはお子さんが『どんなことに興味を持っているんだろう?』と知ることができるし、学校の先生からは『これを読んでいるならこっちも読んでみれば?』と提案するきっかけができたという声もあります」と中賀さんは話す。
図書館側からもメリットがあるという。
利用者側からの反響が聞こえる一方、図書館側からは、実際の利用者数拡大に繋がったという声もある。子どもたちはいっしょに訪れた親のカードで借りるというのが一般的には思い浮かぶが、読書通帳機による履歴は利用者1人ひとりによるため、子どもたちも自分のカードを作るようになったという。
これだけ読むと、良い印象しか受けない。僕も近くの図書館に導入してほしいと思った。
しかし、Twitter上では異なる意見もあった。
記念品で釣って読書通帳に記帳させ、貸出数が増えた形にするとは呆れて言葉が出ない(゚o゚;;
— Azusa Hoshi@¶ (@kisonavi) 2016, 2月 20
図書館の役割否定した民営化 直営にもどした下関の教訓https://t.co/yeEN7bu4p7
リンクの記事を読んでみた。
冒頭に否定的な文章が書かれていた。
2010年に全国に先駆けて指定管理者制度を導入してオープンした下関市立中央図書館は、民間企業と交わした五年の契約期間を待たずして破綻し、今年度から市直営に戻った。
読書通帳には問題があるのか?気になったので記事を読み進めてみた。
しかし、読み進めてみてもイマイチ何が問題なのかよくわからなかった。
この記事を書いたところは長周新聞というところらしい。
共産党関連の新聞らしい。ちょっと偏った見方なんじゃないかと思った。
なぜそう思ったかというと、うまく説明できないけど、
数字や関係者のコメントを掲載しているけど、
それは著者が述べたいことを強調するためだけの根拠のような気がしてきたからだ。
別の側面の情報が見えてこなかったからだ。
たしかにこの記事に書かれているように、読書通帳を無料で配布することで、従来利用していなかった図書館利用者がろくに本を読まずに返却するという事態が起こっているかもしれない。下関市立図書館は市の直営に戻ったのだろう。図書館のHPを見たらめっちゃシンプルになってて味気なさすぎて魅力がない。
僕は読書通帳を使ったことがないけど、使ってみたいと思った。
僕は図書館をよく利用する。これまでどんな本を読んだか蓄積されていくと単純に嬉しいし、自分の学びの成長記録が残せるのってすごくいいと思う。
子供にとってみたら、友達と読書記録を読み合って、感想を言い合って、「次はその本借りようっと」とか言って借りて読んでみて、どんどん世界が広がる気がする。
読書通帳というアイデアは無限の可能性を感じる。
もちろん悪い面もあるかもしれない。でもそれは運用しながら改善できるものだと思う。運用している司書の方が、民間に任せたからといって、「私は知りません」という態度ではなく、「図書館の楽しみ方をもっと多くの人に知ってもらおう」という態度でいれば問題は解消していくんじゃないだろうか。自分事として取り組めばきっと上手くいくんじゃないだろうか。
僕の知り合いの司書さんたちはすごい志が高い方ばかりなので、そんな方たちと一緒に何か面白い事ができたらいいなと思う。
読書通帳というアイデア以外でも、既存の設備を使って安く面白く図書館をしていくことだって出来ると思う。
困ったら図書館にある本がヒントを与えてくれる。あとは実行するだけだ。