河江 肖剰さんがナショナルジオグラフィック誌のエマージング・エクスプローラー(新たなる冒険者)に選ばれた。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/15/072200015/?ST=m_column
冒険者にふさわしいウイスキーをプレゼントしようと決めていた。
ウイスキー界の冒険者といわれるビル・ラムズデン博士のチャレンジャブルなボトルを見つけた。
ビル・ラムズデン博士は語る。
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「グレンモーレンジィ シグネット」のような深煎りモルトを思いついたきっかけは何ですか?
実をいうと、コーヒーへの不満がきっかけでした。
淹れたてのコーヒーのアロマは素晴らしいのに、香りに匹敵する味わいに出会えない。このギャップは何だろうと考え、学生時代に面白半分でいろいろなローストやコーヒー豆を試してみた結果、ブルーマウンテンのミディアムローストが最高だという結論に至りました。
そしてローストのプロセスと、モルトウイスキーの世界をひとつにできないだろうかと悩んだ挙句に、大好きなクラフトビールのようにスタウトやポーターに使うハイローストのチョコレートモルトを作ればいいじゃないかと思いつきます。
グレンモーレンジィのスピリッツから秘密のバッチをつくり始め、納得できる処方を確定させるまでには長い時間がかかりました。
チョコレートモルトのウイスキー自体は荒々しいので、7~8種類のグレンモーレンジィを組み合わせたレシピになります。
処方は年に1~2回おこないますが、極めて複雑な細部を持っているので完全に同じものをつくるのは不可能です。
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ウイスキーの原料である大麦麦芽は通常、麦芽の成長を止めるために乾燥させる。その際にピートを使えば燻製のようなピート臭がつくことはよく知られている。
しかし、ビル・ラムズデン博士はその麦芽乾燥工程でさらに焙煎をしてみたというのだ。これは黒ビールを作る工程の応用である。ウイスキーでは初の試みではないだろうか。
焙煎することでコーヒーと同様のアロマがウイスキーに抽出されることになる。しかし焙煎香には焦げ臭い不快なにおいも含まれる。ウイスキーの他のアロマとのバランスを両立させるのは難しいだろう。それを7~8種類のグレンモーレンジをブレンドすることで実現しているのだ。
確実に美味い。間違いない。
早速、グレンモーレンジ・シグネットをネットで購入した。1万6千円だった。僕が購入した中では過去最高額である。それを河江さんのお祝い会でプレゼントできることを想像するだけでワクワクした。
グレンモーレンジ・シグネットは厚さ1cmはある黒い箱に入っていた。箱だけでも相当な重さである。
同じ容量のボウモアと比べるとその重厚感が際立つ。
そして、お祝い会当日。
その重厚感のある箱に入ったグレンモーレンジ・シグネットを持って会場へ向かった。
肉バルDOMO。
大阪の北浜に最近オープンした肉とワインのお店だ。オーナーの淳子さんとは大阪イノベーションハブで初めて知り合ったけど、その頃は全く別のお仕事をされていた。なぜこの店のオーナーになったかも詳しく聞いてみたいところだ。出てくる肉料理はどれも絶品だった。久しぶりにサーロインを食べまくった。
錚々たるメンバーが河江さんにお祝いの言葉を贈る中、司会の金谷さんにグレンモーレンジ・シグネット授与のタイミングを相談した。
会の終盤にその時は来た。
冒険者にふさわしいウイスキーです!
(もっと長々と説明したけど省く)
そう言って河江さんに手渡した。
河江さんは「皆さんで飲みましょう」と言ってくれた。
嬉しかった。
会場にいる誰よりも僕がこのウイスキーを飲みたかったのだ。
僕のプレゼンの後にはピラミッド型のケーキが登場した。
グレンモーレンジ・シグネットはコーヒーやチョコレートのフレーバーなので絶対にケーキに合う。
ケーキは切り分けて各自に振舞われた。
そして自分のグラスに注いだグレンモーレンジ・シグネットを一口飲んだ。
うん。間違いない。
想像した通りの味と香りだった。
素晴らしい!
他の人たちも口々に「美味しい」の声。
そりゃそうだろう。美味くないわけがない。
僕はテーブルに座り歓談しながら、グレンモーレンジ・シグネットとピラミッドケーキを交互に味わった。
ピラミッドケーキはホワイトチョコと生クリーム、ベリー系のソースで構成されていた。
チョコの甘味とベリーの酸味がウイスキーと調和した。
至福の時が流れた。
冒険者のウイスキーをお代わりしようと思ったら、すでに空になっていた。
嗚呼!
後で香りだけでも楽しもうと、空になったボトルを重厚感のある箱に入れて持って帰った。
翌日、河江さんからFacebookメッセージが届いた。
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ウイスキー、ほんと美味しかったです。なかなか自分に「合う」と感じるウイスキーとはであわないのですが、今日、久しぶりにそのウイスキーにであいました。深謝です!
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最高の褒め言葉だ。
やはり冒険者には冒険者のウイスキーが合う。