感性ナイトは日本感性工学会 前学会長であり、工学院大学 名誉教授、アフェクティブイノベーション協会(AIA)会長の椎塚久雄 先生のお話が聞ける貴重な機会。
東京では月例でSKEL(Shiizuka Kansei Engineering Laboratory)が開催され、関西でも定期的に開催しようということで、3回目の今回はオムロン本社を会場に設定。
とりあえずハイボールセットを準備。
今回はラフロイグ10年、グレンフィディック12年、角の3種類。
ビールやワインもいちおう用意した。
流しのナレッジブローカー&AIA理事の中尾さんの挨拶でスタート。ゆるっと。
今回のテーマは「戦略的イノベーション・マネジメント」
イオンで買ってきた寿司にハイボールを合わせながら聴く。
椎塚先生の問いかけ
「失敗を恐れずに挑戦できる環境にあるか?」
あなたはどっち?
「成功するタイプ」「成功しないタイプ」
「新しいことを学ぶ人」「知っていることが全てだと思う人」
「感謝を伝える人」「理由なく批判する人」
「一緒に成長しようとする人」「蹴落とす人」
「変わる勇気がある人」「変わる勇気がない人」
「正解を出す力」にもはや価値はない!
イノベーションは何をすることか?
「方法論としての革新性」と「生み出した経済価値の大きさ」のバランスを取り、ヒット~バックスクリーン直撃ホームランを打つようなもの。
これを実現するには問題点が2つある。
問題点1
両翼の1つである「経済価値の大きさ」が事前に確定的に予知できない。すなわち極めて不確実性が高い。
問題点2
両翼のもう1つである「方法論としての革新性」が、そもそもの定義からして「手法」に関する評価指標であり、これを目的にすること自体が本末転倒である。
イノベーションというのは「結果として形成される認識」であって、初めからそこを目指して頑張るようなものではない!
じゃあどうするか?
イノベーションの定義・範囲はたくさんある。
①プロダクト・イノベーション:新しい生産物または生産物の新しい品質の創出と実現
②プロセス・イノベーション:新しい生産方式の導入
⑤組織イノベーション:産業の新しい組織の創出
そして椎塚先生の提唱する、
⑥感性イノベーション:心のつながりのネットワーク
感性イノベーションは社会的に拡散するための方法論。
これまでは問題は少なく、解決能力が過剰な時代だった。これからは問題を解くより「発見」して提案する時代。
企業文化の構築
イノベーションの始まりは、事業として成立するかどうかも分からない「個人の頭の中に芽生えた抽象的なアイデア」であることが多い。
このような非公式なアイデアに対して、ある程度の時間とお金を使って取り組むことができ、それを公式のプロジェクトに引き上げる仕組みが必要になる。
それ以外にも、イノベーションを育むいくつもの仕組みや仕掛けを内包する企業(組織)文化を構築することが不可欠である。
組織をマネジメントする上で重要な人間の本質
①美味しいものは独り占めにしたい欲求を持つ
②分かち合う・協力し合う心を持っている⇒①と二律背反する意識
③満たされている状況では変化を好まない⇒大企業病
④ルール違反に対する罰を与えることは快く感じる⇒twitterによる批判
⑤不公平に扱われたと感じると、自分の利益を犠牲にしても相手を罰する⇒京アニ放火犯
⑥「笑顔」と「名前」にポジティブに反応する⇒赤ちゃんの反応
⑦「恐れ」と「喜び」の感情が、新しいことに挑戦する力を創出される⇒震災後に生まれたスタートアップは多い
⑧信じる心が新しいことに挑戦する勇気を与える⇒beの肩書き
イノベーションを起こせる機会は7つある
難易度低い順に、
①予期せぬ成功と失敗を利用する
②ギャップを探す
③ニーズを見つける
④産業構造の変化を知る
⑤人口構造の変化に着目する
⑥認識の変化をとらえる
⑦新しい知識を活用する
イノベーションの成功率を上げる5つの行動
①イノベーションの7つの機会を分析する
②実際に外に出て人や街、現場を見る
③イノベーションの焦点を絞り単純にする
④小さくスタートする
⑤トップを狙う
これについてはウイスキー分野で実現している。
イノベーションの7つの機会の分析
①予期せぬ成功と失敗を利用⇒本気のウイスキー講座よりもメインイベントとの抱き合わせのほうが集客できて楽だったので今はそれをメインにやっている
②ギャップを探す⇒オーセンティックバーと居酒屋におけるハイボールの違いを埋めるハイボールを提供
③ニーズを見つける⇒イベントでウイスキーを並べていればウイスキー好きな人が寄ってくる
④産業構造の変化を知る⇒ブレンデッド→シングルモルト→マイクロディスティラリーの流れを把握したうえでリーズナブルなウイスキーを探索
⑤人口構造の変化に着目する⇒いずれアジア市場を視野に、まずは日本で中年~若者のファンを獲得
⑥認識の変化をとらえる⇒僕のハイボールを飲めばやがてラフロイグ10年へ行きつく
⑦新しい知識を活用する⇒イベントで出会った人の知識を即活用
実際に外に出て、人や街、現場を知る
社内外でハイボールイベントを週1のペースで開催、合わせて立ち呑み、大衆居酒屋、オーセンティックバーまで多様な酒の楽しみ方を体験。現場(とくに自分)は何を求めているかを探求。
イノベーションの焦点を絞り単純にする
あくまでハイボールをメインに、入り口にしてウイスキーを好きになってもらう
小さくスタートする
一人でも回せるレベルで、金銭的なリスクを最小にして、イベントを主催・共催している。他にスタッフが多ければハイボール以外を全面的に任せる。
トップを狙う
理由は2時間くらい喋れるけど、ここでは書かない。
ふたたび椎塚先生の話に戻る。
オープンイノベーションがうまくいかない理由
オールドタイプの思考モデルとニュータイプの思考モデルの相反。
現在の多くの組織では、そもそも「解答を出すべき問題」が明確になっていないことが多い。それが不明確な状態で「何か儲かりそうなアイデアはありませんか?」と問うているのが多くの企業の実情。これは典型的なオールドタイプの思考モデル。共感できる課題設定もないままに、いくら外部からアイデアやテクノロジーを募ったところで大きなインパクトが生まれるわけはない。
一方、ニュータイプの思考モデルでは「重大な課題を発見し、それを解決すること」を目指す。ニュータイプにとってオープンイノベーションは単なる手段でしかなく、目的になりえない。
ところが多くの企業では「オープンイノベーションの実現」そのものが目的に掲げられており、実際に「解きたい課題」がどこかに吹っ飛んでしまっていることが少なくない。手段を目的に取り違え、イノベーションだけを追求するのは典型的なオールドタイプの思考。
オールドタイプ→ニュータイプ
正解を探す⇒問題を探す
予測する⇒構想する
KPIで管理する⇒意味を与える
生産性を上げる⇒遊びを盛り込む
ルールに従う⇒自らの道徳観に従う
1つの組織に留まる⇒組織間を越境する
綿密に計画し実行する⇒とりあえず試す
奪い、独占する⇒与え、共有する
経験に頼る⇒学習能力に頼る
ルールに従うよりも、自らの道徳観に従うって考え方いいなぁ。
複雑性が世界を変える
関係性に注目
未来はつながりの中にある
本能に訴える褒賞が生産性を加速する
人は他人を幸せにすることを好み、他人に感謝あるいは尊敬されると喜ぶ。
自らの作業を管理でき、高度な専門知識を身につけて自らの意見が考慮されるようになると、さらなるモチベーションが向上する。
自らの仕事に情熱を持ち、成功に向けて取り組むことによって人は一所懸命作業をするようになる。
作業の目的とつながりを持ち、システム内のそれぞれの部品がどのように組み合わされるのか理解し、作業を改善する力を持ったときにモチベーションが与えられる。
イノベーターの7つの基本的要件
①何をしたいのか「鮮明なビジョン」を持つ
②創造力とは「つながる力」である
③製品はあくまでもビジョンを体現する手段
④大事なのは何を足すかではなく、何を引くか
⑤モノより「思い出」を提供する
⑥ストーリーを語っているか
⑦仕事に没頭できる「熱い心」
提案力を中心に、以下の6つを構成
①自由時間および肩の力を抜いて雑談
②人は感情には逆らえない
③安定を好む部員に挑戦を促す
④自分で自分をほめる
⑤「心の支え」メンター
⑥やる気を引き出す仕掛け
僕は①③⑤は実践できているので、②④⑥を意識しよう。
Min-Max戦略でアイデアの独創性を考える
新しいアイデアを評価するとき、NUDで評価すると良い。
N:New「新規」であるか
U:Unique「唯一」であるか
D:Difference 明確な「差異」があるか
こうして集まった具体的なアイデアの中から、RWWで評価する。
R:Real「実現可能」で導入すべき市場は存在するか
W:Win 我々の組織で「成功」に導くことができるか
W:Worth-it その挑戦に成功すれば「利益」を得ることができるか
尊敬されるマネジャーが鍵
マネジャーが「SSRマネジメント」を実現すればイノベーションに挑戦するやる気を引き出せる。
S:Stretch 背伸びした目標の設定
S:Support 精神面を含めた様々な支援
R:Reward 正当な評価と報酬
あっという間の2時間だった。
途中でメイカーズ・マークの小瓶をコンビニで調達したが、それも無くなるほどハイボールも出た。
二次会はリドへ。
と思ったがどの店も入れなかったので、王将へ。
餃子
タピオカ
麻婆豆腐にライスを人数分注文し〆のメニュー的な。
予想通り、終電過ぎまで飲んでたので鴨川に寝ることに。
途中で〆のラーメン。鶏豚骨。ネギが美味しい。
感性ナイト in 京都「戦略的イノベーション・マネジメント」をハイボールを片手に聴いた結果、夏の鴨川で快適に睡眠。
川のせせらぎが心地よい。