学びと食、ときどきランニング

ウイスキーマエストロによるIdeas worth spreading

TEDxSapporoでウイスキーマエストロが体感したCross Over

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僕は2013年からTEDxKyotoのコアメンバーであり、これまでTEDxKobe、TEDxHimi、TEDxAnjo、TEDxHamamatsu、TEDxSaikaiでウイスキーを出してきた。

TEDxHamamatsu2018で初めてTEDxSapporoのオーガナイザー鈴木卓真さんにお会いし、次はTEDxSapporoに行こうと決めた。

2019年10月27日に開催されると聞いて、半年前からフライトチケットを予約した。

 

前日に余市蒸溜所でウイスキーを調達した。

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前日のウェルカムパーティーではお酒が出せないとのことで、当日のアフターパーティーで200〜250人の参加者にウイスキーを提供することにした。

 

ウェルカムパーティーではイクラの燻製(ピーティなウイスキーと合わせたかった)など豪華な食事を楽しみつつ、

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明日登壇するスピーカーの意気込みを聞いたり、
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過去のスピーカーの今を聞いたり、パートナーの紹介があった。僕もいちおうウイスキーパートナーとして紹介してもらった。

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パーティー終了後にホテルにチェックインし、TEDxKobeから来ているErieさんと今年のスピーカーの荻田さん、国内のあらゆるTEDxの映像パートナー・シーマの野田さんとクラフトビールを飲みながら語った。

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TEDxは前日入りすると本番前に親密になれて楽しい。

 

僕はほかのTEDxに参加するときはあえて前情報を入れずに新鮮な気持ちで、その場で楽しむ臨場感を大事にしている。

 

そのため、荻田さんのことも最初はスタッフと勘違いして、失礼なことを言ってしまった。

 

荻田さんの話は面白かった。

主に北極を冒険している。昨年は南極点に一人で歩いて到達した。

「北極で怖いことは何ですか?白熊は怖いですか?」

という問いに

「白熊は怖くない。あらゆるリスクを想定して準備をしているので、怖いことってほとんどない」

 

北極圏での冒険は時に海に漂うこともあるらしい。

北極海でプカプカと浮いて過ごす。

海の上は-40℃だが、海の中は凍ってないので0℃くらい。海の中のほうが暖かい。

不思議な感覚なんだろうなーと、帯広のクラフトビール(ヴァイツェン の黒ビール)を飲みながら思った。

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野田さんがここに来る前にエビそばを食べてきたと言っていたので、僕もみんなと別れた後に行ってみた。23時くらいだったけど行列で、30分ほど並んで食べた。エビ感がすごかった。甲殻類アレルギーの後輩のことを思い出した。彼が食べたらすぐに喉がイガイガするだろうな。

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朝ランもした。

途中、誰もまだ来ていない会場を見た。ここでどんなことが起こるのだろう?とワクワクしながら通り過ぎた。

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札幌市内にある円山公園は原始林があるほど自然豊かで、エゾリスもそこかしこで走り回ってる。
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自然と一体となり、落ち葉を踏みしめながら走るのは楽しい。
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TEDxSapporoは10時会場、13時オープニング

それまでの時間はメインステージ外で様々なアクティビティが楽しめる。

 

11時からはHEROES Action

 TEDxSapporoでは過去に登壇したスピーカーのことを敬意を込めてHEROESと呼んでいる。

HEROESの現在(いま)を語ってもらう。

過去に登壇したトークは聴いてないけど、それぞれの人の大事にしていることや、新たな出会い、これからの夢を聴けて楽しかった。

 

BLACKさんは本家のTEDにも登壇したことのあるヨーヨーの達人。TEDやTEDxSapporo登壇後に夢だったシルク・ド・ソレイユにも出演することができ、終身契約のオファーもあった。しかし2016年に自主退団、

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TED登壇時に声をかけられた「教育」の分野へ踏み出す。教科書にも載り、全国各地の学校で講演、「夢は叶う」というメッセージを発信している。

 

HEROES Action最後にQ&Aのコーナーがあり、地元の大学生から「TEDxSapporoに登壇した時の感情ってどんなものでしたか?」という問いをHEROESみんなに投げかけた。

 

僕はBLACKさんの答えが一番インパクトがあった。

「無ですね」

「ステージに立つことを生業にするものとして、登壇前にはすごく準備をします。だからステージに立った時は準備してきたことを出すだけなんです。だから感情としては無ですね」

 

昨日、クラフトビールを飲みながら聞いた北極冒険家・荻田さんの言葉に通じると思った。

 

1Fではパートナーや登壇者に関連する展示も行われていた。

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荻田さんの装備
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これをソリで運ぶのか。少し実感がわいた。

 

競技ヨーヨーも飾ってあった。

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いろいろな種類があるのだなー。

 

13時

いよいよ始まる。

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オーガナイザーの鈴木さん、コ・オーガナイザーの田中さんの挨拶から始まる。

 

最初のパフォーマー、3名の競技ヨーヨー選手、阿部さん、橋下さん、新谷さんを紹介するのはBLACKさん。

 

3人とも札幌出身、18歳で世界大会で上位入賞やTOPに立っている。それは偶然ではなく、2003年に世界大会で準優勝した山田さんが後進育成に力を入れてきた結果だと思います。

 

世代を超えてヨーヨーでつながる関係。

まさにCross Overだと思った。

 

その後の3人のヨーヨーパフォーマンスは素晴らしく、なぜか泣きそうになる。僕の内面から沸き起こる感情を押しとどめられない。ヨーヨーという道具を使いこなすという行為にただただ感動する。人間はこんなにも可能性があるのだと。

 

荻田さんと植松さんのセッションも良かった。

昨日から一緒に過ごした荻田さんのことをより深く知ることができたし、その荻田さんをサポートする植松さんは荻田さんだけでなく、社員の成長を喜ぶ。

使ったことない素材(FRP)を荻田さんと一緒に試行錯誤しながら作り込み、様々なテストをする。

ロケットでは関われなかった女性社員もソリのフード部分の裁縫とかで手伝ってもらえて良かったと言う。

ソリは無事に完成し、南極点無補給単独徒歩到達に成功する。

このソリの製作に関して一銭のお金も払ってない荻田さんは「お支払いしますよ」と言っても「うちの社員が成長してくれたし、植松電機のソリが南極点に行って帰ってきた、それが嬉しいんです」と植松さん。

TEDxSapporo2014で登壇し一緒の楽屋だった縁でつながった関係で、ここまで深く理解し合えているのは純粋に素晴らしいと感じた。

荻田さんが最後に言った言葉が響いた。

「北欧で買ってきたソリは優秀で、それでも南極点に到達できたかもしれないけど、それじゃあ何か嫌なんです。みんなと一緒に試行錯誤して作ったものでやりたいんです」

 

常に変化や挑戦する姿勢は、僕がウイスキーにおいてやっていることでもあり、じっくり共感した。

 

他のスピーカー達も素晴らしく、おそらく会場の(もしかしたらオンライン上の)誰かにはきっと届いていると思えるものだった。他の誰かが言葉にしてくれることを期待する。

 

“TEDxSapporo2019のテーマは「Cross Over」。多彩な人々が、自分の得意な物事を掛け合わせることで生まれる新しいアイデア。互いに協力し合うことで相乗効果を生み出し、自分だけではなし得ないような結果を生み出す。そのきっかけは何気ない日常での出会いから始まります。このイベントを通して、スピーカーや参加者同士、ぜひ互いの強みや好きなことを話してみてください。新たな行動につながる機会となることを期待しています。“

 

まさにテーマにふさわしい内容だった。

 

そして僕の本番はこれからである。

 

アフターパーティーで200〜250人の参加者へ、余市蒸溜所で調達した、竹鶴政孝のスピリットを受け継いだ、ウイスキー達を届ける。

 

会場のANAクラウンホテルへ移動する途中で炭酸水を15本調達し、指定されたカウンターにウイスキーを並べる。

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右から

ブラックニッカクリアー

ブラックニッカディープブレンド

ブラックニッカスペシャ

スーパーニッカ

余市蒸溜所限定オリジナルブレンド(ノンエイジ)

余市ピーティ&ソルティ(ノンエイジ)

 

ピーティ&ソルティは余市蒸溜所で試飲して、ノンエイジなのに余韻が長くて感動したので個人用に買ってきたものだ。

右から順番に安いウイスキーを提供し、全てを味わった人にしか出せない(というか価値が分からない)位置付けにした。

 

開場から30分ほどはホテルが用意したワインやビールが出ていって、ウイスキーの需要は少なかった。

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その間に僕は全種類のハイボールを試飲した。

やはり美味い。僕の作るハイボールは世界一美味い。今日はTEDxSapporo の感動と余市蒸溜所の魂を感じているのでなおのこと美味い。美味いしかない。

 

少数のウイスキー好きの方に気分良く振る舞ってると突然ステージに呼ばれた。ウイスキーパートナーとしてウイスキーの紹介をしてくれとのことだった。

 

6杯分のハイボールを飲んでほろ酔い気分でプレゼンした。余市ピーティ&ソルティを持って。余市蒸溜所の素晴らしさを語り、ウイスキーの素晴らしさを語り、今日のハイボールの美味しさを語った。

 

その結果、長蛇の列ができた。

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もちろん多くの人にウイスキーの素晴らしさが伝わるのは嬉しい。

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参加者のみなさんと会話をしながら作るハイボールは楽しい。

 

パーティーが終わるまで列が途切れることはなく、全てのウイスキーが空になった。本当は個人用に買った余市ピーティ&ソルティも。まぁみんなが楽しめて美味しさが伝わればいいんだ!

 

翌日、二条市場で生牡蠣が食べれたので、ちょっとだけ残ってた余市ピーティ&ソルティを生牡蠣にかけて味わったった。

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まさにCross Overである。