学びと食、ときどきランニング

ウイスキーマエストロによるIdeas worth spreading

巨樹巨木ツアーin奈良公園に行ってきたよ。意外な発見がたくさん!

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巨樹巨木ツアー、奈良公園でやるというので、行ってみた。

 

何度も行ってる奈良公園だけど、いつもは通り過ぎる木を解説してもらって、じっくり観察して、葉っぱを拝借して、植物図鑑を作成しながら巨樹巨木を巡った。

 

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興福寺の近くにあるスダジイから。

樹木図鑑(スダジイ)

スダジイのどんぐりはアクが少なくて生でも食べられるらしい。

 

 

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お次はスダジイのそばのイチョウ。

イチョウとは|ヤサシイエンゲイ

イチョウの葉は枝先の1カ所から7、8枚出る。一番手前の短い葉がお兄ちゃんで、お兄ちゃんに陽が当たるように、弟たちはどんどん伸びて葉を繁らせる。葉っぱが生えてる根元の枝は短枝(たんし)と呼ばれ、1年毎に節ができて伸びる。節の数を数えたらその短枝が何年かけて成長したか分かる。

イチョウは生きた化石とも言われ、恐竜が生きていた時代から今の姿らしい。

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イチョウの葉っぱはお互い重ならないように気を使って成長している。

 

 

 

イチョウの次はクロマツ

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樹木図鑑(クロマツ)

クロマツの葉は二枚一組。もともと一つの葉が分かれて二枚になったもので、撚り合せるとくっつく。

盆栽の松は5枚葉で五葉松というらしい。

他に三葉松もあるらしい。

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クロマツの樹皮についてる乳白色の粉末は松ヤニが乾燥したもので、こすり取って匂いを嗅ぐと、白檀のような匂いがした。木にとって樹液は血液と一緒だ。傷ついたら樹液を流し、傷を塞ぎ、雑菌が入るのを防ぐ。樹液が化石になったものが琥珀だ。ごくまれに虫入りの琥珀が取れるらしい。とても貴重なものらしい。

 

 

お次はサクラ。ソメイヨシノ

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ソメイヨシノの葉っぱの根元には蜜がある。それで蟻を呼び寄せる。アリは地面から幹を登って、枝をわたって、葉の蜜に行く。途中にアブラムシなどのサクラにとって害虫となる虫がいたら食べてくれる。サクラは虫退治をアリに委託している。

 

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サクラの幹についているオレンジ色の目みたいなのは皮目といって、そこで呼吸をしているらしい。それを覆うように着いている白っぽいシミみたいなのは地衣類で、これがたくさんつくと呼吸ができなくなるので、サクラのためにはとってあげたほうがいいらしい。とりにくいけど。

 

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クロマツヤドリギ。幹の途中から根を生やして成長するなんて、ヤドリギ逞しい。

 

 

 

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春日大社にいく道すがら、スダジイの雄花を見つける。クリの匂い。どんぐりもクリの仲間だけんね。

 

 

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マツボックリは螺旋状にできている。その方が開くときにエネルギーを使わない。

周りに落ちてる茶色い芋虫みたいなのはマツの雄花。

 

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マツの種。虫の羽のようになってて、落ちるときに遠くに飛べる。

 

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エビフライ。木になってたマツボックリをムササビが食べた後。

 

 

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スギ。

 

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クスノキ。樟脳のもと。全身に樟脳。樟脳は虫除けになるので、江戸時代の高級輸出品だった。江戸時代を支えたのがクスノキ。葉っぱの付け根にダニ室があり、特定のダニだけ住まうことを許される。共生の関係。

クスノキの葉っぱや枝を折って匂うと樟脳のいい匂いがする。

 

 

 

ムクロジ

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樹木図鑑(ムクロジ)

 

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ムクロジの中から竹が生えている。巨木は年をとると空洞になりやすい。

 

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ムクロジの実。皮は水につけると泡が立ち洗剤の代わりになる。

 

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ムクロジの実の皮をむくと、硬い種が出てくる。種は数珠の材料になる。

だから、ムクロジはお寺に植えられることが多い。

 

 

イチイガシ。

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春日大社境内のイチイガシ巨樹群

一位樫。一位の樫だからイチイガシ。

 

 

エノキ。枝の木と呼ばれるほど枝が多い。おかげで日陰が気持ちいい。

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樹木図鑑(エノキ)

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このエノキはもともと土塀があったところに生えてて、徐々に土塀がくずれて根っこが露わになった。しんどいねー。

 

江戸時代、参勤交代の目標となった一里塚にエノキは植えられてた。エノキは成長が早いので目標にちょうどよかった。休憩場所にもちょうどよかった。

 

 

 

飛火野に生えるナンキンハゼ。成長が早い。江戸時代に中国から持ち込まれた。ナンキンハゼは鹿が食べない樹木なので放っておくとどんどん増える。

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http://www.foresternet.jp/files/0001/1138/奈良_たより91_01F.pdf#search='ナンキン+樹木+奈良'

 

 

飛火野の南端にあるクスノキの古木。樹齢7百年くらいだろうといわれるけど、空洞化が進んで正確な樹齢は分からない。

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下から眺めると、ぽっかりと穴が空いている。木は中心が古く、外側が新しい。樹液を流すのは外側なので、中心はなくても生きていける。

 

飛火野の端には鹿が食べないイヌガシが生えている。

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奈良公園というのは、放っておくと鹿が食べない木だらけになってしまうらしい。だから鹿が食べる木は保護されている。

奈良公園におけるシカの功罪 - 一般社団法人 東京奈良県人会

 

飛火野の芝生は鹿が刈っている。芝刈り機で刈ったら年間2億円くらいかかるらしい。

鹿は2億円の仕事をしているのだ。

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そして、鹿の糞を食べて掃除してくれるのがルリセンチコガネ。

blogs.yahoo.co.jp

飛火野の芝生は鹿とルリセンチコガネとでバランスを保っている。こんな光景は世界にただ一つらしい。阿蘇の草千里もいいけど、奈良の飛火野もいいなぁ。

 

 

 

 

今回、巨樹巨木ツアーを案内してくれた甲斐野さんが運営されているグリーンあすなら会。 

奈良市:癒しを求めて「巨樹めぐり」 - グリーンあすなら巨樹巨木の会

奈良の原始林の保護活動もしているらしい。