今出川の住宅地にひっそりとある河村食堂。
イタリアン食堂だ。
細い路地を通って店に入る。
カウンターは5席ほど、奥にテーブルが2席の小さな店だった。
ワインを頼むとタパスがついてきた。
レバーパテとポテトパテのカナッペと生ハムとサラダ。
レバーパテが美味かった。
赤ワインなのでボロネーゼを頼んだ。
生パスタでしっかりめの麺にミートソースがよく絡む。
バゲットにもソースをつけて食べる。美味い!
隣では店主の子供がアイス食べてた。
2歳くらいかな。かわいい。
僕が来店した時はお客さんが僕一人だったけど、家族連れが一組奥のテーブルにつき、そして白人の初老の男性が一人で来店して僕の右隣に座った。
左には店主の子供、真ん中に僕、右に白人男性とそれぞれ一席空けて座っている。
白人男性は日本語がほとんど話せないらしく、メニューを英語で聞いていた。
店の奥さんは英語が話せないらしく、奥のテーブルの家族に「英語話せます?」と助けを求めていた。
「僕、英語話せますよ」と言って、白人男性と話すことにした。
まず、メニューの解説。
What's this?
白人男性がメニューを指指す。
チキン、ポーク、パスタなど解説していく。
タリアテッレやリングイネは発音が分からなかったのでGoogleで「タリアテッレ 英語」で検索してスペルを見せた。
何とかメニューを説明していると、僕の前に赤ワインが置かれた。
「お前は親切だから、俺の奢りだ」
おっちゃんに英語でそう言われた。
「マジか!ありがとう」
僕は英語で答えた。
本当は、もう会計を済ませて店を出たかったのだけど、、
赤ワインを飲み干すまで、おっちゃんと話した。
「どっから来たん?」
「俺はカナダに30年、オーストラリアに30年過ごしてたんだ。観光で日本に来たのさ」
「ふーん。日本はどこ回った?」
「東京、横浜、静岡、そして昨日京都に来たぜ」
「へー」
「この辺の家はいくらするんや?」
唐突に家の値段を聞かれて、僕は戸惑いながらも女将さんに家の値段を聞いて、それをおっちゃんに伝えた。
「だいたい戸建で5千万円くらいやって」
「そうか。オーストラリアはな、家賃が高いんや。日本の1.5倍はするで。びっくりやろ」
「そうなんやー」
「オーストラリアはな、経済的にやばいねん。昔は鉱業が盛んやったけど、今は中国に押されてあかんねん。中国がオーストラリアの鉱床を安く買いたたきよるしな。オーストラリア政府はアホや!」
おっちゃんは鉱業やってたんやと思う。えらい怒ってはった。
「そうなんやー」
「日本はええなー。経済的に豊かやし、自然も豊富や」
「京都はどの辺回ったん?」
「寺やね。あと二条城。あそこは良かったわ〜」
「好きな日本食は何?」
「寿司やな!美味いわ〜」
「明日は何するん?」
「大阪に行くんや」
「大阪城もええよ」
「そうやな!楽しみや」
「あと、食べ物が安くてうまいで」
「なんでや?」
「うーん。うまく説明できんけど、とにかくたこ焼きとお好み焼きは安くてうまいで」
「そうかー。ほな食べてみるわ」
「ほんじゃ、行くわ。楽しんでやー」
そう言って、僕は会計を済ませ店を出た。
最近話してなかったけど、意外に英語喋れた。
なんかちょっと嬉しかった。