僕はもともと理系で、物理の知識は多少はある。苦手だったけど。
今は仕事でマーケティングをしているのでこのトークは、かなり、面白かった。
What physics taught me about marketing?
マーケティングについて物理が教えてくれること。
まずは分かり易いニュートンの法則の F=ma(物体に働く力=質量×加速度)から
この方程式をちょっと並び替えると
加速度=物体に働く力÷質量となる。
つまり 、物体の質量が大きくなると 、その運動方向を 変えるにはより大きな力が必要になる。
これはブランドについても言える。
ブランドが大きいほど ポジショニングを変えるには大きな力が必要となる。
そのため、ユニリーバやP&Gのような企業は
オレオやプリングルズ、ダヴのような 別々のブランドを持ち 1つに統合しないのだ。
この原理は 素粒子の位置と運動量を 正確に測定するのは 本質的に不可能だというもの。
測定自体が粒子の状態を変えるから。
素粒子に光を当てると、その光の粒子に運動量があるので 素粒子を突き飛ばしてしまう。そのため、素粒子が元々どこにあったのか分からなくなる。
つまり、観察行為が変化を引き起こす。
マーケティングも同じで、観察されるとユーザーの行動は変わる。
日頃からインターネットで ポルノを見ているとアンケートで答える人はほとんどいないだろう。でもグーグルで最も検索されているのはポルノだ。
だから、ユーザーにアンケートを取るのではなく、 実際の行動を計測すべき。
次は物理や科学全般の基本である 科学的方法について
観測で仮説は立証できず 反証することのみが可能。これはたくさんのデータを集め 仮説やポジショニングを強化できても 決定的証明はできないという意味。そしてたった1つの反証データで 理論をぶち壊しにできるということ。
例を挙げると、プトレマイオスは何十ものデータを基に 惑星は地球の周りを回っていると唱えたが コペルニクスのたった1つの確実な観測で その理論は打ち砕かれた。
マーケティングにも似たようなことがある。長期間に渡ってブランドに投資しても そのポジショニングに1つ反例があっただけで ユーザーの信用が台無しになる。
最後は、エントロピーの世界の 熱力学の第二法則。これによると システムの無秩序度を表すエントロピーは 常に増大している。
マーケティングでも同じ。20年前は マーケティング責任者が独断で決めたメッセージ1つで ブランドのイメージを決めることができた。
しかし、SNSでユーザーが自由に発信できるようになった現在は、ブランドのイメージを完全にコントロールするのは無理。
ブランドはだんだん拡散され、どんどん無秩序になる。
ブランドというエネルギーが拡散することで ブランドが人々にとって身近になり 溶け込んでいく。このエネルギー拡散は民主化させる力であり 最終的にはブランドにとっていいこと。
物理から学ぶことは エントロピーは常に増加するという基本的法則で、マーケティングではブランドは拡散するということ。 逆らっても無駄なので 受け入れ、それを利用する方法を見つけるべき。
勉強になったー。