いまさらながら、『昨夜のカレー、明日のパン』を読んだ。
NHKでドラマをやっていたことは、嫁が見ていたようなので、なんとなく知っていた。
ドラマも結構人気だったようだ。
文庫版の表紙をめくると、著者の木皿泉について書かれている。
木皿泉とは、
和泉努と妻鹿年季子による夫婦脚本家のペンネームらしい。
最初の「ムムム」を読むと、主人公のテツコ、同居するギフ(義父)、テツコの夫で7年前に亡くなった一樹、テツコの恋人の岩井さんなど、だだだーっと登場してくる。
ドラマ版のキャストをみると、
テツコ|寺山徹子(仲 里依紗)
ギフ|寺山連太郎(鹿賀丈史)
岩井さん|岩井正春(溝端淳平)
寺山一樹 (星野 源)
ムムム|小田 宝(ミムラ)
となっている。
亡くなった一樹は星野源なんだなぁ。
おもむろにiPhoneに入ってる星野源「エピソード」を聴く。
いい。この本とすごく合う。
星野源を聴きながら、連作の短編を読み進めるのは心地よかった。
最後に、文庫限定の書き下ろし「ひっつき虫」を読んでて、おっ!ってなった。
知ってる店が出てきたからだ。
そのお店の名前はウサギノネドコという。
そこで売られているsola cubeという植物を透明な樹脂で包んだものが物語の中で重要な役割を果たす。
その店にあるのは、貝の標本だけではなかった。見覚えのある小さな植物が、透明な樹脂で三センチ四方の立方体に固められたものが、大きな木の箱の中にきっちりと並べられていた。
店の人が、これは今年の春に作られたものですと教えてくれる。空に飛び出す前のタンポポの綿毛や、咲いたばかりのソメイヨシノが時間と一緒に樹脂の中に、ストップモーションのように閉じ込められていた。
その中に、テツコは子供の頃よく遊んだひっつき虫を見つけた。
実際に、木皿泉さんはウサギノネドコに行ったのだろう。公式Facebookの投稿には、
写真の「ひっつき虫」が入ったsola cubeは、編集担当が木皿さんご本人からもらったものです。
とある。
ウサギノネドコは展示スペースだけでなくお宿やカフェもやっているので、行ってみるといい。
そこで『昨夜のカレー、明日のパン』を読めば、きっと幸せな気持ちになれるだろう。