学びと食、ときどきランニング

ウイスキーマエストロによるIdeas worth spreading

「感性のある人が習慣にしていること」を読んで気づいたこと

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感性のある人が習慣にしていること

 

これは陶芸家でアーティストのSHOWKO(しょうこ)さんが書いた本です。

装丁が素敵です。イラストは坂本奈緒さん、ブックデザインは金澤浩二さんが手がけています。

 

SHOWKOさんとは6、7年前に知り合いました。もともと年下の友達が「姉さんのように慕ってます」とベタ褒めしており、どんな人か気になっていました。そして実際にお会いして、一緒にお茶をしたり、お酒を飲んだりして、いつも自然体で、エネルギーを秘め、自由奔放で、素敵だなぁとずっと思っていました。

 

そんなSHOWKOさんが本を出す。しかもタイトルに「感性」が入っているということで、気になり、予約して購入しました。

 

私は大学では感性工学を学び、人はどのようにして味や匂いを感じているのか?それを機械(センサー)で代替するにはどうすれば上手くいくか?といった研究をしていました。

感性工学とは、人間の感性という主観的で論理的に説明しにくい反応を、科学的手法によって価値を発見し、活用することによって社会に資することを目的とした学問です。

 

辞書的な意味での感性とは、

①物事を心に深く感じ取る働き。感受性。「ーが鋭い」「豊かなー」

②外界からの刺激を受け止める感覚的能力。

です。

 

コロナ禍で大きな変化がみられる今後の社会を生きていくなかで「感性」はますます大事になっていく気がします。

 

本書の「はじめに」では、

感性のある人とは、「答えを出せる人」のこと

と言っています。

具体的に言うと、

「自分のことがよくわかっていて、自分の価値観で選択ができる」

「人の繊細な気持ちに理解を示せて、人間関係を主体的に築ける」

「自分に必要なものと不必要なものが判断でき、決断をくだせる」

といったことです。

 

序章では、感性を養う「5つの習慣」について解説、その後、各章で5つの習慣の具体例を示すという構成です。

 

その5つの習慣とは、

1.微妙な違いに反応する「観察する習慣」・・・13の習慣

2.惑うことを知る「整える習慣」・・・10の習慣

3.多角的にものごとを捉える「視点を変える習慣」・・・11の習慣

4.新たな世界を知る「好奇心を持つ習慣」・・・9の習慣

5.自分の感覚を知る「決める習慣」・・・6の習慣

 

合計で49の習慣が紹介されています。

 

私はこの本をパラパラめくって日々気になった習慣を読んでみています。

SHOWKOさんが気づいて、意識している習慣を読んで「私もやってみよう」と思えるものを選び、実際に行動しています。

 

例えば、観察する習慣「お酒の味わい」を言語化してみる(74頁)というもの

これは過去にやっていたけど、最近やっていないことでした。

私の好きなウイスキーを飲み、テイスティングノートを付ける。これは表現力が養われます。ただ酔っぱらうために飲むのではなく、お酒と向き合い、お酒と語らいながら、自分なりの表現をするのです。口の中にあるお酒を意識し、飲んだ後の余韻も楽しむのです。

たとえば、いま飲んでいるクライヌリッシュ14年だと、飲む前の香りは「適度に熟れたりんご」、飲んだ時の味わいは「爽快な蜂蜜」、飲んだ後の余韻は「夏の終わりの潮風」といった感じになります。より詩的な表現をすることで世界が広がる感覚になりました。

 

この本を読むと、普段意識していなかったことを意識するようになり、自然と「感性のある人」に近づける気がします。

自然体で、意識して、気づいて、行動し、習慣にする。

そんな流れを楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

ベルセルク41巻特装版の感想【ネタばれあり】

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ベルセルク41巻特装版

 

裏面がキャンバスアートになっている。ガッツが大剣を振り下ろす。

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ドラマCDも付いている。

中身は39巻の妖精王に会うところから、キャスカの心を取り戻すための夢の中の戦い、キャスカの復活、そして41巻のエンディングまで。

声優さんに表現してもらうとさらに漫画の世界に入り込める。

 

41巻は7話で構成されている。以下、ややネタバレあり。

帝国の黎明

グリフィスのターン。

新たな帝国を打ち建てようと宣言するグリフィス。

すべてうまくいっているような感覚。

シャルロット王女と一夜を過ごす。

王女が寝ている部屋の窓辺で黄昏るグリフィス

自分の髪をみながら「やはり。ならば今夜が」と姿を消す。

 

障壁

復活したキャスカは髪を切ってもらい、動きやすい服を着てみんなの前に。

「やはりこっちの方がしくり来るな」

剣術の腕も昔と変わらず、イシドロに稽古もつけてやる。

しかしガッツと面と向かって話そうとすると蝕の記憶が蘇り、倒れてしまう。

 

けれど、二人はまだ会えない

 

桜の園

ファルネーゼとシールケが妖精島の魔術師たち に実力を披露し認められる。

 

渓谷

ガッツは髑髏の騎士と共に、二人の鎧(狂戦士の甲冑)を作ったドワーフ・ハーナルのもとへ。

ハーナルはガッツの鎧をハンマーで打つ。狂戦士の甲冑が反応してガッツを飲みこむ。

 

幻視

狂戦士の甲冑の前の持ち主である髑髏の騎士の過去の記憶がガッツに流れ込む。

かつての蝕、かつてのゴッドハンド、かつての生贄。

シールケによって現実に引き戻してもらうガッツ。

 

跳猿

妖精王・ダナンと髑髏の騎士が挨拶を交わす。

イシドロが女の魔術師にイタズラをする。猿のように飛び跳ねるイシドロ。

一方、剣の素振りをするガッツのもとに、かつての少年が現れる。

 

朝露の涙

かつて満月の夜のみに現れた少年。妖精島では時間の流れが現世と異なるのでいつもより長く一緒にいられそう。

ガッツとキャスカそれぞれによく懐く。まるで二人の子供のよう。

少年と共にベッドで眠るキャスカ。突然思い出し、起きる。少年はいない。

少年はガッツのもとへ。

夢を見ていた

満月の夜に幼子になって懐かしい温もりに抱かれるんだ

だが、夢から覚めると微かな寂寥感が残るだけ

それもすぐに消える

一筋の涙と共に

朝露の様に

涙を流してガッツへ振り返る。

 

ここで終わり。

この「朝露の涙」は、三浦健太郎先生が生前に直接ペンを入れた最後の原稿だそう。

 

個人的にはこの終わり方でよかった。

一区切りついたと思う。ガッツにとってもキャスカにとってもグリフィスにとっても。

 

これからの展開はいろいろと想像をかきたてられる。

 

おそらくガッツとキャスカは妖精島を離れて新たな旅に出るだろう。仲間と共に。その旅の目的は?もしかしたらグリフィスを取り戻すというものかもしれない。

 

グリフィスは帝国を打ち建てていくだろう。そこに大きな障害は無いように思う。しかしグリフィスの心は動いている。今の鷹の団をとるのか、昔の鷹の団をとるのか。

 

第三勢力として、バーキラカの住処へ移ったリッケルト達がどう動くのか。何かしらの大きな戦いが起きれば、動かざるをえなくなるかもしれない。

 

そして、髑髏の騎士とゴッドハンドの戦いも気になる。現世と幽界の狭間は淡くなったので、グリフィスやガッツも交えて混沌とした戦いになる気がする。

 

ベルセルクの今後については未定とのことであるが、それが続いても、これで終わっても、どちらも受け入れる。

 

ベルセルクが始まって30年、私がベルセルクに出会って24年、その世界観やストーリーに衝撃を受け、世界とは何か、家族とは何か、といった問いを持ちながら楽しませてもらいました。

三浦健太郎先生ありがとうございました。

 

寅年なのでトラのように働いてみよう「組織のネコという働き方」×「ゼロからはじめる働き方改革」

こちらのイベントを企画し、2つの本を読み込んで紹介したので書き残そう。

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まずはこちらの本から

 

いまの組織で、無理なく働けていますか?

組織で働く人は「イヌ」「ネコ」「トラ」「ライオン」の4タイプにざっくり分けられます。

 

パフォーマンスが高いか、ふつうか
組織の中央を志向するか、組織にいながら自由か
この2軸で分類しています。

 

組織に忠実なイヌ
自分に忠実なネコ
群れを統率するライオン
社命より使命なトラ

 

トラは「変わり者」と思われがち

 

ネコな人がイヌみたいに働くとしんどくなるかも。(イヌの皮をかぶったネコ)
まずは「組織のネコ」を目指そう。

 

自分の特性がわかれば、強みを発揮して健やかに働く道筋が見えてきます。

ということで組織のネコ度チェックリストが載っている。

 

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そして、「どうすればネコからトラになれるのか?」「トラはどのような働き方をしているのか?」という実践的なヒントが満載の一冊。

 

もともとはトラリーマンに学ぶ「働き方」というWEB連載がきっかけなので、そこで紹介されたトラリーマンがたくさん出てくる。

私が取り上げたのは3名。

 

組織のトラ①イレイさん

bizzine.jp

琉球銀行という固そうな組織なのにDJのようなキャップを被っているのが特徴的。

グレートリューギーンというロボットアニメ調のPR動画を作ったり、

youtu.be

ブランドビデオで賞を取ったりしている

youtu.be

肩書きからは想像できないことをやっている

2秒で即レス、打率は7割

人を笑顔にするために驚きをつくる

という見出しで本では紹介されている。

 

組織のトラ紹介②クラヌキさん

他流試合&逆輸入

bizzine.jp

サラリーマンは「ドラクエ

bizzine.jp

働き方への取り組み - SonicGarden 株式会社ソニックガーデン

・オフィスなし、全員リモートワーク
・管理のないフラットな組織
情報格差を無くすオープン経営
・リモートワークのコミュニケーション
・遊ぶように働く

 

組織のトラ紹介③タケバヤシさん

bizzine.jp

現場重視でやりすぎると、よいことが起こる

「起」の人と「転結」の人をつなぐ
イノベーションに必要な人材の『起承転結』理論

賞味期限が切れた価値・組織の再編集をする

という見出しで本では紹介されている。

 

たった1人からはじめるイノベーション入門という本も出した

イノベーションとは、新しい軸を生み出すこと

武士と忍者

イノベーションは「秘密結社」から生まれる ~クローズドからオープンへ~

・「わらしべ長者」を科学する~起業家の思考プロセス「エフェクチュエーション」~

・コミュニケーションのないところに、モチベーションはない

・「人を巻き込むこと」もデザインする

イノベーションにおける「1000に3つ理論」

・「幽体離脱」してプロジェクトを俯瞰して見る

・壁にぶつかったときには、3つの作用を味方にする (外圧、タニマチ、第三の空間)

 

そんな内容。

 

ということでトラ度チェックもやってみましょう。

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じゃあ、どうやったらネコからトラになれるのか?

それは加減乗除の法則が決め手になります。

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加減乗除のそれぞれのステップを経てトラになっていくのです。

 

さらに秘訣があります。

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ネコ度チェックとトラ度チェックを比較してみました。

その違いは、
お客さんに喜ばれる仕事を続け、個性を磨き、社命より使命で働き、
社外の人とチームをつくり、人をつないだり、自走支援の活動をし、
異種のトラと仲良くなり、経営陣に理解をしてもらい、
結果として、突出した成果を出し、お客さんの一部に熱狂的ファンができる

のです。

つまり「やりたいこと(志事)を持とう」ということなのです。

 

志事の持ち方については次の本が解説してくれます。

次のような章立てになっています。

第1話 私の働き方改革

第2話 進まない働き方改革

第3話 働き方改革成功の鍵(組織編)

第4話 働き方改革成功の鍵(自分編)

第5話 志事探し術

 5-1 私の改革の動機づけ=やりたいこと(志事)を持つ

 5-2 ジマンマイニングのススメ

 5-3 他人探しのススメ

第6話 選択肢拡張術

第7話 アイデア幻想術

第8話 行動移行術

第9話 これからの「私の働き方改革

 

私はこの本は第5話の志事探し術がクライマックスで、その前後のエピソードがあると読み解いています。

 

それでは本の中の図を中心に詳しく解説していきます。

 

第1話 私の働き方改革

まず仕事の棚卸をしましょう。

急ぎか急ぎじゃないか

業績に貢献するか貢献しないか

の2軸で4つに分けたとき、どれに当てはまるか?

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ここから仕事の棚卸がはじめられます。

 

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よくある生産性の数式では、生産性を高めたければ労働量を減らせばよいと安直に考えて、定時になると電気を消して回るといった行動をしてしまいます。

 

そこで数式を少し変えて、

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こうすることで生産性を高めないと労働量を減らしても意味がないということが分かります。

 

そして生産性を高める三つの要素を一つずつじっくり考えていくと、いま目の前にある仕事の生産性は高まっていくのかもしれません。

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私はサラリーもらってる仕事についてはかなり生産性が上がっている気がします。三要素を書き出してみると、

やること:「やりたい」ことと「やれ」と業務命令されたことしかやらない

やり方:コーヒーブレイクから料理まで気分転換をしっかり入れつつ、厳選した「やること」をアニメやYouTubeなんかを聴きながら集中してやる

やる力:RPAを徹底活用してやる力をつける

こんな感じです。

 

そして、

生産性を高める三要素は「組織のネコ」本で登場した「加減乗除の法則」で見極めることができるかもしれません。

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第2話 進まない働き方改革

働き方改革がなぜ進まないのか?

それはコミュニケーションポートフォリオが整理できていないからかもしれません。

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よくある働き方改革では緊急性が高い仕事に関する情報についてのみ議論して効率化しようとします。

ですが、根本的に大切なのは緊急性が低い③これからの仕事についての話し合いや④各個人の想いの共感なのです。ここを話す時間をもっと作って、みんなが理解・納得・共感した上でみんなの仕事を整理したりコラボしたりすることが大事になるのです。

 

第3話 働き方改革成功の鍵(組織編)

そのようにして組織のみんなで話し合い、理解・納得・共感した上で、組織的に働き方改革を進めていきましょう。

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新たな価値観や行動原理をモチベーションとして、型・場・技を変えていくことで働き方改革が進み、新たな成果を得ることができるでしょう。

 

第5話 志事探し術

やりたいこと(志事)を持つことで、改革しようという動機になるかもしれません。

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著者の坂本さんは「自分が時間を注ぎたいことを明確に抱く」ことを若手の頃から進めてきました。坂本さんにとっては、アニメを観ることや、コミケに参加することだったのです。

また「一つ上のレイヤーのジョブ感」を味わうことも大事だと坂本さんは言います。坂本さんは入社以来、営業や新規事業開発、コンサルタント、マネジャーと色々な仕事をしてきましたが、「助言をしているとき」に楽しさ・やりがいを感じるということに気づきました。

 

志事を持つと「働き方イノベーター」になることができます。

それでは「働き方イノベーター」になったら次はどういうことが出来るのでしょうか?

 

第6話 選択肢拡張術

セルフマネジメントのプロセスとして次のようなフローが紹介されています。

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なぜ働き方イノベーターの選択肢は広いのか?

それは、明確な意図(志事)を持って、世の中の様々な事象にアンテナを張っているので、目の前の仕事で得られる情報以外にも幅広い知識を持っているからなのです。

そして最終的に成果を上げていくのです。

 

第8話 行動移行術

何かを始める上では「乗っかる」と効率的です。

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ここで「伝統・習慣」は「ルーチン」と置き換えてもいいかもしれません。

例えば、毎月行っている部署の会議の一コマとして、仕事の改善点アイデアや急ぎではないが共有しておきたい自慢ごとを話す時間を10分ほど加えることで、第2話で紹介したコミュニケーションポートフォリオの③これからの仕事についての話し合いや④各個人の想いの共感を話すことにつながります。

 

ということでこの本の一番伝えたいことは、

あなたのやりたいこと「志事」は何ですか?

ということなのだと思いました。

 

あなたのやりたいこと「志事」は何ですか?

早霧せいな「夢のつかみ方、挑戦し続ける力」を読んで思い出したこと

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私が彼女と初めて会ったのは、おじいちゃんのお葬式の時だった。

 

初めて身近な人が亡くなり、初めてのお葬式だった。

その頃の私は大学4年生で、研究室に配属された直後だった。

 

おじいちゃんは朝起きたら亡くなっていたそう。脳溢血だった。

お酒の好きなおじいちゃんだった。

 

お通夜やお葬式ではたくさんの親戚が集まった。お通夜はみんなで酒を飲み明かし、楽しくワイワイと送り出した。

 

お葬式はおじいちゃん家で行い、普段あまり会わない親戚の人ともお話をした。

 

お母さんの従姉妹のおばちゃんとはこれまで何度か話したことある。とてもかわいいおばちゃんだった。おばちゃんとお母さんと私の3人で話していると、

「こんど長女が宝塚音楽学校に入るんよ」とおばちゃんが言った。

「ほらあそこの」と指をさした先に彼女がいた。

ちょうど妹と二人でお焼香をしているところだった。

 

明らかに他の人とオーラが違った。凛とした佇まい。所作がひとつひとつ美しい。

 

宝塚のことはよく知らなかったけど、なんか凄そう!と思った。

 

「夢のつかみ方、挑戦し続ける力」第1章では、その彼女・ちぎたまみこさんが早霧せいなになるべく、宝塚に入るまでのストーリーが書かれている。 

私が彼女を初めて見たときは、ちょうど宝塚音楽学校の入学が決まった直後だったようだ。

でも、それまでにも2度の不合格を経験し、ラストチャンスで合格したんだなぁ。

14歳で宝塚に出会い、10年後の自分に手紙を書いている。

この前、始めて、雪組公演の「風と共に去りぬ」をみました。

心のそこから楽しみにしていました。見てとても感動したし、それをみてから、本当に悩んでいます。

相談する人がいなくて、10年後の私に相談しています。

もし、あなたがまだ宝塚を目指しているか、入っているのなら、自分をほめて下さい。

そして、途中であきらめているか、他の仕事をしているのなら、あなたはこのことを一生後悔すると思いますよ。

私はこれから宝塚について調べて、がんばります。

あなたも、この手紙をはげみにがんばって下さい。 

 

そこから夢に突き進み、悩みながらも夢を叶えた。

 

私は陰ながら、彼女をずっと応援していた。

ただ一度見ただけ、話したことはないけど。

 

彼女が宙組に入団したこと、宙組から雪組に組替えしたこともお母さんから教えてもらったり、新聞で読んだりして一喜一憂していた。

 

雪組で2番手になった頃はスポーツ新聞で大きく取り上げられていたので会社のみんなに自慢した。

 

やがて、雪組のトップスターになった。とても嬉しかった。

最初の公演が「ルパン三世」だったので、男の私でも観に行けるかな?と、勇気を出して初めて宝塚大劇場へ観に行った。

 

宝塚大劇場はきらびやかで、キラキラした女性ばかりいた。でも、女性と一緒にわずかばかりの男性もいたので、少し安心した。

 

2階席の真ん中あたりに座った。

遠目にステージが見える。

オーケストラが舞台のすぐそばにいる。生演奏なんだ!

初めて観る早霧せいなは輝いていた。

ルパン三世のコミカルな演技が板についていた。次元や五右衛門、不二子ちゃんや銭形のとっつあんを演じる他の役者との息もぴったり。とても楽しく観劇できた。

その後のショーもすごかった。大きな踊り。舞台演出家の小池先生に褒められた大きな踊り。男役としては小柄な168cmというコンプレックスを乗り越えて、生き生きとしている。

最後の大階段から大羽根を背負って出てきたときはちょっと泣いてしまった。うわぁって。

 

そこから3年間、彼女が退団するまで何度も宝塚大劇場へ観劇しに行った。

次の公演の「星逢一夜/La Esmeralda」は娘と一緒に観に行った。

その次の「るろうに剣心」はもうメロメロ。

scotchhayama.hatenablog.com

scotchhayama.hatenablog.com

 

その次はケイレブハント/Greatest Hits!

scotchhayama.hatenablog.com

 

 

 退団公演は早朝から並んでチケットを購入した。

scotchhayama.hatenablog.com

 

本でも書いてたけど、彼女は歌が苦手だった。

ルパンの頃から、2番手の望海風斗(のぞみふうと)さんが抜群に歌が上手いのもあって、私が聞いても見劣りする感じがあった。ダンスや演技が上手いからなおさら。

でも、最後の退団公演の頃になると、もうすごかった。堂々と歌い上げている。ソロの歌声にゾクゾクした。大きく成長したんだなぁとしみじみ感慨深かった。

 

退団後も彼女は色々なことにチャレンジしている。

ミュージカルだけでなく、テレビのお仕事も。

たまに世界ふしぎ発見にも出ている。

www.instagram.com

 

昨日はスイッチインタビュー達×達の再放送を観た。

www.nhk.jp

 

その時のエピソードも本に書かれている。

第4章ゴールのない世界へ

増田さんのように、私にできることはなんだろう?

そう考えたとき、今の私が持っている「早霧せいな」という活動自体が、大きなツールになるのではと思ったのです。

そのツールを使って、関わってくれたひとりでも多くの方が幸せを感じたり、プラスの気持ちを抱いてくれるということも、私だからこそできる、私と世の中のつながりのひとつになるのではないか。

増田さんが、現役引退後に「増田流」のやり方で自ら道を切り開いて行かれたように、今は私も「早霧流」で少しでも社会に貢献をできたらと思っています。

 

私は彼女の活動を追いかけ続け、彼女からたくさんの幸せをいただきました。

これからも応援しています。ありがとう。

7日間ブックカバーチャレンジ文庫編7日目「陰陽師」

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夢枕獏の「陰陽師

漫画化や映画化にもなった。

漫画は岡野玲子が描いた。

映画では野村萬斎安倍晴明で、伊藤英明源博雅だった。

どちらも世界観が確立されててよかった。

 

原作でも晴明と博雅の掛け合いがいい。

 

物語は博雅が晴明の家に行き、酒を酌み交わしながら、怪異の相談をするところから始まる。

 

「玄象という琵琶鬼のために盗らるること」というお話では、呪(しゅ)について語られていた。

 

呪とは何であるのか

呪とは、名ではないか

呪とは、ものを縛ること

ものの根本的なあり様を縛るというのは、名だぞ

この世に名づけられぬものがあるとすれば、それは何ものでもないということだ。存在しないと言ってもよかろうな

 

博雅は現実、晴明は非現実として、お互いを認め合っている。その関係性が、この物語の幹となっている気がする。

二人の会話を聴いているだけで楽しい。

 

やがて、話がまとまり、

「ゆこう」

「ゆこう」

と怪異のもとへ向かう。

 

 

平安時代

闇が闇として残っていた時代

人々の何割かは、妖しのものの存在を確実に信じていた頃

遠境の森や山の奥ではなく、人も、鬼も、もののけも、同じ都の暗がりの中に、時には同じ屋根の下に、息をひそめて一緒に棲んでいたのがこの時代である。

 

陰陽師を読めば、そのような時代へタイムスリップできる。

ゆっくりと、酒でも飲みながら、読みたい本である。