学びと食、ときどきランニング

ウイスキーマエストロによるIdeas worth spreading

7日間ブックカバーチャレンジ文庫編7日目「陰陽師」

f:id:ScotchHayama:20200514142711j:image

夢枕獏の「陰陽師

漫画化や映画化にもなった。

漫画は岡野玲子が描いた。

映画では野村萬斎安倍晴明で、伊藤英明源博雅だった。

どちらも世界観が確立されててよかった。

 

原作でも晴明と博雅の掛け合いがいい。

 

物語は博雅が晴明の家に行き、酒を酌み交わしながら、怪異の相談をするところから始まる。

 

「玄象という琵琶鬼のために盗らるること」というお話では、呪(しゅ)について語られていた。

 

呪とは何であるのか

呪とは、名ではないか

呪とは、ものを縛ること

ものの根本的なあり様を縛るというのは、名だぞ

この世に名づけられぬものがあるとすれば、それは何ものでもないということだ。存在しないと言ってもよかろうな

 

博雅は現実、晴明は非現実として、お互いを認め合っている。その関係性が、この物語の幹となっている気がする。

二人の会話を聴いているだけで楽しい。

 

やがて、話がまとまり、

「ゆこう」

「ゆこう」

と怪異のもとへ向かう。

 

 

平安時代

闇が闇として残っていた時代

人々の何割かは、妖しのものの存在を確実に信じていた頃

遠境の森や山の奥ではなく、人も、鬼も、もののけも、同じ都の暗がりの中に、時には同じ屋根の下に、息をひそめて一緒に棲んでいたのがこの時代である。

 

陰陽師を読めば、そのような時代へタイムスリップできる。

ゆっくりと、酒でも飲みながら、読みたい本である。