対話や学びが深まる『問い』の作り方講座
https://beyondc-theme02.peatix.com/
テーマ&狙い:アクティブ・ラーニング型の授業やワークショップなど「たった一つの正解がない課題」について対話を通して学びあう場で活きる「問いの立て方」を身につける。明日から使えるスキルを持ち帰る。
今日のルール:3つの権利
1.考える(Think)だけでなく感じた(Feel)まま語れる権利
2.どんな意見も尊重される権利
3.チャレンジと失敗をする権利
この3つの言葉の差は?
コミュニケーション・・・情報の交換、対人関係のスキル
コンサルテーション・・・目的を達成するための支援、課題解決のスキル@自分が提案
ファシリテーション・・・ものごとを円滑に進めるための支援、課題解決のスキル@全体リソース←自分自身が解決策を持っている必要はない
アウトプット重視かプロセス重視かで問いは変わる
アイスブレイク:レゴブロックを使った演習
私にとって〇〇は、このブロックです。なぜなら・・・
1.いまの気分
2.オタク要素
3.参加理由
→自分が見えている景色は自分しか見えない。その景色、他人には見えていない。
事実⇔解釈
解釈は一人一人自由
情報の価値が変わってきた
所有・記憶→共有・加工
知る→わかる→できるの順番
知る(Ideas、基礎知識):テーマに対する基本的要素や、基礎的な事実関係、言葉や定義・解釈、基本概念を学習者が説明できる。
↓
わかる(Connection、つながり):基本概念と概念の間にある関係や、つながりについて説明ができる。または既知の情報と、いま学んだことのつながりについて学習者が説明できる。
↓
できる(Extensions、応用):新たに学んだことを本来の学びの場からは離れたところで新しい形で使える。または「それにどんな意味があるか?」「自分に何ができるか?」など仮説の質問に答えられる。
「知る」と「わかる」は出るのに「できる」の領域で発言が止まる。「できる」の内容がテーマから逸脱する。意見を出せる参加者と出せない参加者の隔たりが大きい。
「勘と度胸」から「理論とデザイン」へ。デザインの視点で再現性を高める。
共感もいいが、共感で終わらせない
なぜ主体的・対話的で深い学びが重要か?
効果1:知識の共有者で終わらない→Googleと同じ土俵で戦わない。課題:体験の提供だけで良いのか?
効果2:「個の学び」を超える可能性が高い→対話による多角的視点の獲得。課題:どうすれば視点が増え視座が上がるか?
深い学びの「深さ」とは?
→(演習)レゴブロックで表現
対話や学びが深まりやすい問いの3条件
1.解釈の余地がある
2.適度な制約がある
3.問いをつないでいく→参加者に丸投げをしない
問いの機能
1.必要な情報を手に入れる
2.間を持たせる or 時間稼ぎ
3.テーマに興味を持たせる
問いの種類は大きく2つ
クローズドクエスチョン:閉じた問い、答えがYesかNoかに絞られる質問(ex.今日のお昼ご飯はカレーなんだけどいいかな?)
オープンクエスチョン:開いた問い、思ったことを自由に答えられる質問、6W2H、トヨタ式5W1H(ex.今日のランチは何食べたい?)
オープンクエスチョン6W2H
What 何を:内容、手段、種類、性質、目的
Why なぜ:意義・目的、動機、理由、狙い、背景、必要性
Who 誰が:中心人物、担当、グループ、主人公
Whom 誰に:相手、関係、人数
When いつ:タイミング、期限、時間、季節、頻度
Where どこで:場所、位置、屋内、屋外、舞台
How どのように:手段、方法、段取り、進め方、期待度
How much いくら:数量、予算、単価、範囲
演習:問いの種類その1「4象限」
わたし(ファシリテーター、上司、親など)と相手(学習者、部下、子供など)の軸
「知っている×知っている」「知らない×知っている」「知っている×知らない」「知らない×知らない」の4象限
どの領域を意識して問いを作れるかが大事。
※「わたしが知らない」領域は問いを作るのが難しい
「知っている×知っている」の例、親から子へ:いつ宿題やる?
「わたし知っている×相手知らない」の領域は「知識の確認」
「わたし知らない×相手知っている」の例、営業から顧客へ:情報を引き出す問い
「知らない×知らない」の例
・迷子になった人→迷子:どっちに行ったらいい?
・親から子供へ:将来、何になりたい?(ステージごとに聞く)
・部下から上司へ:社長って何を考えているんですか?
・教師から生徒へ:この課題に対して解決策はどんなものがある?(PBL:プロジェクト型の学び)
・お互い知らないことを知らない:初めて会った人が同じ大学出身で共通の友人がいた
演習:問いの種類その2「軸をつくる」
[時間]過去⇔未来
例題「行く」
過去:小学校の夏休みによく言った場所は?
現在:今どこに行きたい?
未来:死ぬまでに1回は行きたい場所は?
[難度]答えやすい⇔答えにくい
答えやすい:外に行きたい?(クローズドクエスチョン)
やや答えにくい:お昼はどこに食べに行きたい?(オープンクエスチョン)
答えにくい:修学旅行どこに行った?(経済的状況で行けてないかもしれない)
→何が原因で答えにくいのか?「心理的安全性」「答えを知らない」「人によって答えにくい問いもある」
その他の軸を考える
[視点・視座]わたし⇔世界・社会
[価値観・文化・慣習]近い⇔遠い
[実現可能性]高い⇔低い
[感情]わくわく⇔不安
[空間・距離]近い⇔遠い
[コスト]高い⇔低い
[年齢]若い⇔老い
[経験]乏しい⇔豊富
いきなり答えにくい問いからいくとフリーズする
徐々に移す。選択肢を出す。例示を出す。
学習者中心で考える「答えにくい理由は何か?」
問いを増やすという視点で軸を考える
軸を起点に問いのバリエーションを増やす
問いの種類:軸
・事実と感情の切り分け
・過去と未来の切り分け
・個人と社会の切り分け
・抽象と具体の切り分け
関西大学梅田キャンパスの取り組み by 財前さん
・2016年10月開設。人を導き、繋ぎ、自ら起こし、創る「人」を育成~「考動」を実践する場の創出~
・出島モデルの実施。新規事業は既存の組織には原理的に起こせない。既存顧客の要求をより良く満足させることに最適化された既存組織に「イノベーションを起こせ」と号令をかけても難しい。2階層経営モデル(1階:計画に基づく経営、2階:探索や実験を行う経営)。既存領域とは異なる経営体制や意思決定プロセスを取り入れ、既存事業の合理性が持ち込まれない状況をつくる。
・男子的3C(自社・競合・顧客)から女子的3C(コミュニケーション・コラボレーション・コミュニティ)へ
・産学連携2.0。目的:社会的(広域地域)な共通課題の解決。特徴:クロスセクターで各層的に連携・共創しうる領域
・Strength of Weak Ties(弱い絆の強さ)。ネットワーク同士がつながると自分とは全く「異質な」人たちとの交流により大きな変化を生む。
(ワークショップ再開)
演習:「わかってるんだけど止められない」インタビュー
2~3人1組、聞き手、答え手、観察者に別れる
答え手は「わかっているけど止められない」エピソードを考える(1分)
聞き手が意識すべきポイント
なぜ?どうして?を使わない
事実確認の質問に置き換えて質問する(いつ?どこで?誰に?どういう気持ちで?)
機能しない問い
なぜ?の封印
なぜできないの?
どうでしたか?
最近、学校どう?
なぜ?どう?は機能する時としない時がある(子供など普段からあまり考えてない(内省していない)人には機能しない)
なぜ?どうして?に簡単に頼らないコミュニケーションを実践してみよう。相手に丸投げしない。
ORID:問いかけのフレームワーク
Step1:事実(客観的問い、「なるほど!と思った発言は?」、広げる問い、狭める問い)
Step2:感情(内省的問い、肯定&否定的感情の確認、「一番嬉しかった出来事は?」、概念的な問い)
Step3:解釈(解釈の確認、経験の意味や価値を確認、「何が得られましたか?」、深堀る問い)
Step4決定(自己決定確認、判断や次ステップの確認、「本当はどうしたいですか?」、進展させる問い)
※Step3以降なら「なぜ?」を問うても良い
「対話型ファシリテーション」
なぜ?を問う時は主語が大事
正解のない問いへのアプローチ
1.答えられる問いを用意する
「あなたにとっての幸せって何ですか?」より
「あなたにとってのちょっとした幸せって何ですか?」のほうが答えやすい
2.スモールステップを繰り返す
スモールステップATKISSON PYRAMID+1
レベル5:やろう!
レベル4:どうすればできる?何が必要?
レベル3:私たちに何ができる?
レベル3':私たちには何がある?=リソース(どんな社会との接点がある?)
レベル2:それはなぜ起こっているの?
レベル1:何が起こっているの?
※ポイント:主語・主体を明示する
アウトプットするまでのプロセス
インプット→「発想」「整理」「表現」→アウトプット
「発想」なぜ?どうして?どうすればいい?
「整理」「表現」いつ?誰が?どこで?どれくらい?なにが起きてる?
整理と表現を意識した問い
「温暖化防止につながる行動は何だと思いますか?」
→
「あなたの日常生活の中でちょっと工夫するだけで温暖化防止につながる行動は何だと思いますか?」
6W2Hを活用する
アウトプットに向けた準備
意見をアウトプットする障害=壁は何か?
その「壁」がブレイクすべき「アイス」
→人間関係?(お互いを知らない?)
→「できない」という気持ちや経験?
※アイスブレイクはテーマに興味を持つための大切なプロセス
「理論」から入らないプログラム
EATをデザインする
E:Experience 経験
↓
A:Awareness 気づき
↓
T:Theory 理論
ネガティブなほうが出しやすいが、ポジティブなほうが多様
やる気スイッチを入れる入口(イントロ)
どうすれば「やってみよう!」と思うか
ARCSモデル(ジョン・ケラーが1983年に提唱した学習意欲モデル)
Attention 注目「面白そう!」
↓
Relevance 関係性「自分とつながっている」
↓
Confidence 自信「やれば出来そう!」
↓
Satisfaction 満足感「やって良かった」
※アンケートの設問にも使える
他人ゴトや世界ゴトから自分ゴトへ。自分ゴト化することで学習意欲が高まる
例1)対象:大学生向け「問いの作り方」講座
困ること:「気になる人に一人暮らしなのか聞きたいけど直球で聞けない」「私に興味があるか聞きたいけど聞けない」
↓
テーマ:問いを作る技術
↓
メリット:「欲しい情報を手に入れることができます」「直球じゃなく聞ける」
例2)関係性を壊さずに断れる技術
最初の問いかけ「〇〇なことありませんか?」
主語や主体を意識した問いを作る
パターン1:あなたは、SDGsの達成に向けて今なにが出来ると感じていますか?
パターン2:あなたは、自分の業務を通じて、SDGs達成に向けて何が出来ると感じていますか?
パターン3:あなたの会社or事業部は、SDGs達成に向けて何が出来ると感じていますか?
↑主語や主体が誰かによってパターンは異なる
演習:質問を選びつなぐ
テーマ「あなたは、10年後の自分どうなりたい?」対象は40歳前後の中堅社員
質問作りのルール
1.3~4人チームで実施
2.出来る限りたくさんの質問を作る
3.作った質問について話し合ったり、評価したり、答えたりしない
4.質問をひたすら黄色のポストイットに記入
5.ポストイットに1質問1枚で(箇条書きNG)
質問を分類する
オープンクエスチョンは〇、クローズドクエスチョンは△をつける。
オープン⇔クローズドに質問を変換し赤色のポストイットに記入
「過去」⇔「未来」を横軸に「状況、事象、事柄」⇔「感情・意思・気持ち」を縦軸にして整理する
空きスポットに新たな質問を青色のポストイットに記入し貼る
どのルートで質問をつなぐと答えやすいかデザインする