学びと食、ときどきランニング

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微分積分で挫折した人に向けて、微分の美しさを語る

高校の数学で微分って習いますよね。

 

いちおう僕は理系なので、苦手意識はありながらも解いてました。

 

大学に入ってからは、工学部電気学科ということもあり、どの教科もやたらと微分が出てきました。フーリエ変換ラプラス変換とかいう訳の分からないものまで。

 

やっぱり苦手なんですよね。よく分からない。

 

でも、福岡伸一さんの「せいめいのはなし」を読んで、微分をちょっと好きになりました。

 

高校時代に学んだ微分積分微分は、私たちを苦しめるために編み出されたのではなく(笑)、この動き回っている世界を何とか一瞬止めて、止めることで次にその動きがどこに向かうかを知ろうとした人間の切実な願いの産物です。微分というのは、関数の細かな近似値をとっていくことですからね。同じようにフェルメールは、自分が捉えた一瞬を絵画という方法で表現したのではないかと思うのです。 

 

福岡伸一さんは「動的平衡」を読んで以来、好きな作家です。分子生物学者でありながら、アートや文学に造詣が深く、科学を分かりやすく詩的に素敵に表現してくれます。文体は村上春樹のようで(実際、福岡さんは村上主義者です)、ひとつの文でも楽しく読めます。

 

微分の美は一瞬を切り取るところにある。

それは絵画であり、写真であり、詩でもある。

 

微分は微(かすか)に分けること。

それは微生物、微粒子、微妙、微量、微細、微乳、微熱、微笑・・・

 

微はささやかでひっそりとして美しい。