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今回はノロウイルスの感染源は牡蠣なのか?
この問いを検証してみました。
まず、ノロウイルスの発生時期ですが、
12月〜1月がピークです。
そんで、日本で一般的に食されている真牡蠣の旬は1〜3月くらいです。
つまり、牡蠣がもっとも美味しい時期がもっとも当たりやすいという関係があります。
やっぱ牡蠣が原因なんじゃ?と思ってしまいますね。
でも、違うんです。
ノロウイルス食中毒の原因食品別発生件数の年次推移(厚労省のページより)
ノロウイルス食中毒の原因食品を調べると、二枚貝(牡蠣を含む)が原因のものは全体の10%以下で、ほとんどがその他の食事です。
これは調理してる人や一緒に食べてる人が感染源で、ノロウイルスが食事に付着して経口感染した可能性が高いです。
じゃあ、なんで12月〜1月にかけて発生件数が多くなるの?と思う方もいらっしゃるでしょう。
これは、温度と関係していることが分かっています。
北海道大学の調査報告「カキのノロウイルス浄化法に関する研究 : 培養可能なネコカリシウイルス(FCV)を代替えとして」によると、
ノロウイルスと似た形状のネコカリシウイルスは、
海水中では10℃以下で安定であり、20℃以上になると不安定になった。
このことは、ノロウイルスによる食中毒が夏場に少なく、冬季間に多く見られる要因の一つであると推察される。
つまり、寒いとノロウイルスが元気になって食中毒が流行るということですね。
牡蠣はノロウイルス食中毒の主原因ではないといっても、生食する機会が多いので不安ですよね。
かき研究所は「マガキがノロウイルスを取り組む仕組みの解明」に取り組んでいます。
最新の研究成果をみると、ちょっと残念な報告がされています。
ノロウイルスフリーカキの生産法確立のためには「カキにノロウイルスを取り込ませないこと」、そして「すでにカキ体内に取り込まれているノロウイルスを除去すること」の2つについて、明確な解決策を見いだすことが不可欠である。しかし、カキ体内からのノロウイルス除去に関する基礎研究は、世界的に見ても手詰まり状態にある。
牡蠣の体内に取り込まれたノロウイルスの除去は難しそうですね。
そこで本年度は昨年度に引き続き、国内外で発行された最新の文献から、ノロウイルス除去に関連しそうな情報を広範囲に収集することとした。その結果、海水中のノロウイルス、特に病原性の強い GII.4 型など特定の遺伝子型を持つウイルスは、マガキ鰓の上皮細胞が持つ繊毛表面のシアル酸という糖鎖と特異的に結合することが示唆された。
鰓(えら)は、牡蠣のびらびらなってるところ(外套膜)の中にあります。
ここにノロウイルスはくっつくんですね。要注意だ!
びらびら(外套膜)をめくって、えらをみたところ
今回の報告をまとめると、
ということです。
生食用の牡蠣も100%安全というわけではないので、気をつけて食べましょうね。
次回は生牡蠣を食べる前にできる対策について報告します。