最近の研究成果によって、大人になっても脳の神経細胞は増やせるということが分かってきた。
神経科学者のサンドリン・チュレは同僚の癌専門医に相談された。
「治療した癌患者のなかにうつの症状が出る人がいる」と。
彼女は答えた。
「患者に与えた薬は癌細胞の増殖を抑えると同時に脳内の新しい神経細胞の生成も抑えるのです」
逆に、抗うつ剤を投与すると、新しい神経細胞の生成が促進され、うつの症状が軽減し、神経新生とうつの明確な関連が確かめられた。
神経細胞の生成を促進するには、つまり、うつの症状を軽減するには、以下のことをしたら良いらしい。
- 学習
- 睡眠
- セックス
- 運動
- 20〜30%のカロリー制限や食事間隔をあける
- 魚の脂(オメガ脂肪酸)をとる
- フラボノイド(ダークチョコレートやブルーベリーに含まれる)の摂取
- 歯ごたえのあるものを食べる
逆に、神経細胞の生成を阻害し、つまり、うつの症状を強めるのは、
- ストレス
- 睡眠不足
- 運動不足
- 動物性の脂(飽和脂肪酸)をとる
- アルコール摂取
- 柔らかいものを食べる
とのこと。
僕もうつ状態になった経験があるけれど、
一旦、うつになると抜け出すのは難しい。
僕の場合は、ストレスや睡眠不足でどんどんうつ状態になり、やがて運動(走ること)を嫌い、高脂肪の食べ物(菓子パンなど)を食べたくなってきた。
うつの負のループに陥ってしまったのだ。
その間、ずっと脳の神経細胞の生成は阻害され、ネガティブな思考に囚われ、死を欲するようになる。
そのループを抜け出すために僕に出来たことは、抗うつ剤を服用し、十分な休息(睡眠)をとることだった。
負のループを抜け出せたら徐々に神経細胞を生成する生のループに入っていくことが出来てくる。
学習するのが楽しい、規則正しい生活ができる、走れる、魚がうまい、生きてて楽しい、小確幸を感じられる。
うつの時はとてもつらかったけれど、元気になってくると、あの頃があって良かったなと思える。
人間とは生と死の間を揺れ動く不確かな存在である。