能を大成した世阿弥が残した言葉に「離見の見」というものがある。
これは、目は前を見て、心は後ろに置くということで「客観的に自分を見ることが大事だ」という意味であり、見所(観客席)から見る自分の姿を常に意識し、見所同心、客席と一体となるように考えてやらなければならない。自分だけで勝手に盛り上がってもダメだということらしい。
平成最後の十五夜の9月24日、お月見をしながらうつわとウイスキーを愛でる会をしようと企画した。
6月頃から計画し、共催のSIONE 河原尚子さんとミーティングを重ねた。
会場の下見をし、宣材写真もたくさん撮った。
1カ月前からイベントページをオープンし、参加者がなかなか集まらないことにヤキモキしながらも、月に見たてる用の丸氷も量産していった。
おかげさまで11名の方に参加いただけることとなった。
会に臨むにあたって、「離見の見」を意識した。
我を出す「我見」ではなく、常にお客様の目線「離見」を意識する。
用意したウイスキーは三種類
ハイランドパーク12年ヴァイキングオナー
グレングラント10年
おつまみはスイーツプレート
旬野菜のピクルス、シナモンのパウンドケーキ、カカオマジックのチョコレート「麻炭マジック」
Magic 5 <Spirit / 精霊 > 麻炭ブラック
「神々の食べ物」と言われるカカオと、
日本に於ける聖なる植物「麻」の炭を配合した麻炭ブラックは、
チョコレートの味を全く新しいものに変身させます。
苦味ではなく深みのあるシンプルな味わい。
カカオに宿る精霊を感じ、自身の精神性を高めるために。
合わせるうつわも三種
タンブラーは海をイメージしたものを用意してもらい、ラフロイグのハイボールを注ぐ。
今、ハイボール
ハイボールは今を感じられる酒。
氷を詰めたうつわにラフロイグを注ぎ、炭酸水をゆっくりと注ぐ。愛を込めて。
泡がパチパチと弾け、鮮烈な香りを感じながら注ぎたてを飲む。
「今、この一瞬を生きている」と味わう。
最高の一口目を味わった後は、旬野菜のピクルスの酸味と苦味と共に楽しむ。
次のうつわはWAN
今回はこのWANを使いたいというインスピレーションから始まった。
このWANに丸い氷を入れ、ウイスキーを注ぐことで月に見立てる。
アイスピックで角氷を丸くする。
きれいな丸にはならなかったけれど、でこぼこが月っぽくていいんじゃないかと。
一杯じゃ丸い氷がもったいないと、おかわりする人が多かった。
過去、ロック
月の遠さを感じながら、少し過去の月光を目にすることを意識した。
合わせるウイスキーはハイランドパーク12年ヴァイキングオナー。
古のヴァイキングの文様が美しいボトルを愛でながら。
美空ひばりの「愛燦々」
過去達は優しく睫毛に憩う
このフレーズが好きだ。
目を閉じて思い出していると睫毛に憩う過去達。
そんな体験をしてほしいと思いつつ、丸い氷をステアしてロックを作った。
最後はミニカップにストレートを注ぐ。グレングラント10年。スペイサイドの華やかな森の香りを感じてもらいたい。
未来、ストレート
一日の終わりに飲むストレート。
明日への希望。人待ち顔して微笑む未来。
参加者11名は皆さん微笑みをプレゼントしてくれた。
そして僕の未来も続いていく。