ジャレドダイアモンドの「文明崩壊」上巻を読んだ。
巻末のグリーンランドの事例を読んで、日本の行く末を憂いた。
日本も同じように徐々に縮小、やがて崩壊していくのではないだろうか?
それを防ぐ手立てはあるだろうか?
しかし、数百年で崩壊した。
最盛期は数千人いたノルウェー人が一人もいなくなり、遺跡だけが残った。
崩壊した要因の中で、今の日本と共通するものが2つある。
一つは資源が乏しく、輸入に頼らなければ生活に困るということだ。
当時のグリーンランドは木材と鉄が圧倒的に不足していた。
それらを輸入するための対価としてセイウチの牙の精製品を輸出していた。象牙の代わりとなる高級品として本国ノルウェーで需要があったためだ。
しかし、十字軍遠征で勝利したことによって中東以南の交易が再開され、象牙が容易に手に入るようになり、セイウチの牙の精製品の需要は低下した。
やがて、鉄の入手が困難になり、同じくグリーンランドに居住する先住民のイヌイットとの争いにも負けることが多くなった。刀剣や矢尻の材料としての鉄がないからだ。
日本も交易に頼ることが多い。食料自給率は40%以下だし、石油や鉱石もほとんど輸入している。友好国との交易が途絶えてしまったら立ち行かなくなる。
それを避けるためには何をすればいいだろう?
アメリカや中国のような輸出大国に頼るだけでなく、幅広く交易の相手国を確保し続けることが大事なのだろう。
それとともに、日本から輸出できる品目も多様にしないといけないだろう
もう一つの要因はとても興味深かった。
グリーンランドの入植者はキリスト教徒だった。敬虔なカトリック信者だった。
そのため、できる限りライフスタイルをキリスト教圏と同じものにしようとした。
ヨーロッパで流行ってる最新のファッションを着こなし、食生活も肉食を好んだ。
寒い地域で魚が豊富にあるというのにだ。
先住民のイヌイットのライフスタイルを少しでも取り入れれば、もっと生き残る可能性は高まっただろうに、そうしなかった。
それはなぜか?
イヌイットを野蛮人とみなし、軽蔑していたからである。
グリーンランドの気候風土にあったライフスタイルを取り入れていたイヌイットを真似することなく、故郷のライフスタイルを無理に続けていた。
郷に入っては郷に従うということができなかった。
日本も幕末以降は欧米に憧れ、ライフスタイルを真似している。肉食化、パン食化が進んでいる。
本来、日本の気候風土にあった暮らしをしてきたはずなのに、それからどんどんかけ離れていってるように思う。
このままでは、中世グリーンランド人と同じく、適者生存ができなくなるだろう。
それを回避するにはどうすればいいだろう?
今の暮らしを見つめなおし、環境に合わせたものに徐々に変えていくべきじゃないだろうか?
無理をしないということじゃないだろうか?