グロービス経営大学院 大阪校にて特別セミナー
「共創ビジネスをデザインする~オープン・イノベーション、IoTを活用し、いかに未来を創造するか~」
を聴いてきた。
講師はオムロンの竹林一さん。
プロフィールなどはこちらの記事が最新版。
ICC KYOTO 2016の時もそうだったけど、竹林さんにはいくつかのネタがある。
ネタ①:大声
ヘルスケアの会社の社長をやってたんで、元気がなくっちゃ会社のブランドを潰しちゃう。
ネタ②:しーさん
名刺を見た女性に「伸ばすんですか?」と問われ、「竹林一(たけばやし~)」と勘違いされたというエピソード。それから「しーさん」というあだ名を使っている。
イノベーションは新しい仕組みや価値をつくること。技術だけじゃない。生産や人事、総務などあらゆるところでイノベーションが起こせる。
管理職になって6年目に3ヵ月休みをもらえる制度。
6年目だとだいたい部長クラスになってる。普通は3ヵ月も職場を離れられない。
何のため?1つは「次世代の育成」自分がいなくても組織が回せると気づいてもらうため。
もう1つは「おまえは何のためにオムロンにいるのか?」を考える機会を与えるため。
ネタ⑤:竹林さんが3ヵ月の休みをとる時のこと
当時の上司だった副社長の滝川さんに「休んでいいですか?」と聞いた時、滝川さんは何と答えたか?
「おまえが会社来てるのか興味ない」(事業の結果に対して”ニギってる”からな)
ネタ⑥:竹林さんが3ヵ月休んで何をしたか?
「休みもらったから今から帰るわ」と奥さんに電話した後、東京から滋賀の草津まで歩いて帰った。初日の夜に奥さんから「何時に帰ってくんの?」と電話がかかってきたけど、いつ着くか分からん。結局、15泊16日かけて帰った。新幹線で帰ると1万数千円のところを歩いて帰ると40万かかった。その際、オムロンの歩数計を持ち歩いて全国3位になった。1位と2位はどんだけすごいねん。
3ヵ月休んで歩きながら竹林さんが考えたことは、
「何のためにオムロンにいるのか?」
出した答えは、
「社会システムのアウトプットを求める(プロダクトじゃなく社会の仕組みも含めた価値を提供する)」ということと「エンジニアを元気づける(目を輝かせる)」ということ。
創業者・立石一真のことば「企業は利益を追求するもんや、それは人間が息をするのと同じや、そやけど人間は息をするために生きてるんか。ちがうやろ」
企業も狭い空間に閉じ込められたままでは窒息してしまう。
誰かが壁や天井に穴をあけて新たな風を呼び込む必要がある。それをするのがイノベーター。
価値と技術の2軸で分けたとき、価値も技術も高めることで価値創造ができる。これがイノベーション。
最近よく聞くIoT
IoTは手段。それを使ってのビジネスイノベーションが起きている。UberやAirBnBなど。
アメリカ発の考え方「CPS(サイバーフィジカルシステム)」はIT×別分野のこと。
それをドイツがうまく応用したのが「インダストリー4.0」
顧客満足の公式
CS=QCD × S
顧客満足は「もの(ハード、ソフト)」の品質Q コストC 納期Dとサービス含めた仕組みSを掛け合わせたもの。Sは儲かる仕組みとも言える。
QとDは下げたら怒られる。
Cは下げても怒られない。
結局、顧客満足CSはコストCと儲かる仕組みSのバランス。
儲かる仕組みSを考えるプロデューサやプロジェクトデザイナーが必要。
なぜ共創が必要?
イノベーションはA社とB社の狭間で起こる。
オープン・イノベーション
日本は赤字になった会社がやり始めた。大阪ガスは2008年のオール電化で危機的状況に陥ったからオープン・イノベーションを始めた。
どこでイノベーションを起こすのか?
技術/サービス/仕組みの縦3マスと、斬新/画期的/破壊的の横3マスでプロットしてみる。それが会社の戦略となる。全体像が無いと、どこから攻めたらいいか分からない。
顧客関係3.0=Will・共創型・価値創造
(2.0=提案型・価値転換、1.0=受託型)
いかに1.0から脱却するか?
顧客関係3.0になるためには、
・TOP営業
・スター営業
・勉強会
・秘密結社
が有効。
TOP営業をかけるためのツールとして本を書く。
いろんな企業のTOPに本を送ったら会って話を聞いてくれた。
お客さんとの勉強会から始まる関係も顧客関係3.0になりやすい。
秘密結社には、以下のようなものがある。
そして「あけみくらぶ」
【最終回】秘密結社モデルで「うぇーいwww」から始めるべきオープン・イノベーション【K16-4B #6】 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION
最新で立ち上がろうとしている秘密結社には、「あけみくらぶ」というのもあって、これは夜明けの女性、つまり夜勤明けの看護師さんを応援するものです。
看護師さんって、夜勤が明けて、朝終わったらそのまま家に帰って寝るしかないので、ストレスも溜まり離職率も高くなっています。
彼女たちを応援する「あけみくらぶ」は何をするかというと、朝10時から旅行に行けるという、まず第一ステップですね。
そして日本の美人女将の会を束ねているところがあって、そこと鉄道会社がタイアップして、夜勤明けから旅行に行くプランを作り、その旅行は、まず老舗の旅館に泊まって寝るところから始まるんです。
(会場笑)
そして、起きてから新しいサービスが受けられるんですね。
これに誰が投資し始めているかというと、病院なんです。
いきなりITだソリューションだと言って、看護師さんを楽にするために昼間の世界からあれこれ持ち込んでも、効率を上げることに繋がるのかという話になってくるんですよね。
ヘルスケア時代にここを応援していて、まずは看護師さんに幸せになって頂こうと思っていました。
このモデルの面白いところは、Willが共通している点なのです。Willで先に握っておく。
Willを出すために出来ること「やりたいこと100連発」
やりたいこと100連発。毎年の大晦日(おおみそか)に翌年にやりたいことをまとめて書き出す。私もまねして5~6年がたった。「7割は実現するよ」という説明はその通りだった。やらなくてはならないことのみを書くのではなく、自然と思いつくことをつづる。仕事のこと、家族のこと、友人のこと。
Willは共感を生む。共感は他社・他者とのハレーションを無くしてくれる。
人財マネジメント”起承転結”モデル
”起承”人財はイノベーションが得意でコミュニティ的、「そもそも?」が好き。
”転結”人財はオペレーションが得意でカンパニー的、「なぜなぜ?」が好き。
アイデアソン・ハッカソンには”起承”人財が集まるが、”転結”人財がいなければ事業にならない。
”承”は部長以上の仕事。デザインが大事。
”起”の人を活かす生態系をつくること。タニマチの存在が必要。
Q&Aの際に質問をした。
「デザインというキーワードが多く出てきた。マーケッターにもデザインが大事と認識してもらいたいが、いまいち重要性を感じてもらえない。どうしたらいいか?」
竹林さんの答えはこうだった。
「デザインはUIやUXだけじゃなく広義のデザインだと思います。ビジネスデザイン、アーキテクチャーと言い換えてもいいかもしれない。言い方を変えて相手に伝わるようにすればいいんじゃないか」
みんながワクワクできるような言葉選びが必要ということか。
「全体設計」「ビジネスモデル創出」「戦略構築」「コミュニケーションデザイン」「会議のデザイン」「お客さんとの関係性デザイン」
竹林さんの「これからの夢」は、
”承”の人財育成と近未来ビジネスの立ち上げ
オムロンだけじゃなく、日本中の企業で。オムロン+〇〇でビジネスつくりたい。
伴走者になりたい。
ラストメッセージは、
Willに人は集まる。
何を実現したいか?=生きる価値
帰り際、他の参加者から「面白かった~」という声が聞こえた。