学びと食、ときどきランニング

ウイスキーマエストロによるIdeas worth spreading

僕が「beの肩書き」ワークショップをやる理由

「beの肩書き」は元greenz編集長で現在は京都精華大学で教鞭を取られている勉強家・兼松佳宏さんが創ったワークショップである。

https://greenz.jp/benokatagaki/

 

これまで全国で何度も開催され、僕も京都で2回ほど兼松さんのワークショップに参加し、beの肩書きを作った。

本を読めば誰でも実施できる内容である。

 

僕も何度も開催した。

はじめは社内で希望者を集めて4人でやった。

その次はもう少し人数を増やして僕が作ったショートプログラムを基に別の人にファシリテーターになってやってもらった。

それからさらに短い30分バージョンを4回ほど。

そして東京ではハイボールを作りながら飲みながら休憩を入れて90分バージョンで。

この度、満を持してフルバージョンを開催した。参加者は60名。

ptix.at

 

60名中、社員が20名ほど参加してくれた。

僕はちょっと前まで新規事業やオープンイノベーションを担当していた。

現在は人事総務系に異動して「働き方改革」や「ナレッジマネジメント」を担当している。

 

新規事業担当の頃からなんとなく思ってたけど、新しいことを始めるのはパワーがいる。情熱がいる。信念がいる。

そういうものが無いと続かない。誰に何を言われようと諦めず続ける力がいる。

僕は今の会社の中では、既存事業の延長線上では、上司が理解・納得する形では、新規事業を企画することが出来なかった。上司を説得することが出来なかった。うまく仲間を募って巻き込むことが出来なかった。

しかし、僕はbeの肩書きを既に見つけており、ウイスキーエストロとして確固たるブランドを築き、社内外で定時外に世界一美味しいハイボールを振舞っている。

ウイスキーエストロというbeの肩書きはブレない軸となり、ウイスキー以外のことはオプショナルであり、ある意味どうでもいい。仕事で成功しようが失敗しようが他人に邪魔されようがどうでもいい。ウイスキーの価値さえ伝われば他のことは一切気にしない。

なので、仕事で嫌なことがあっても、僕にはウイスキーがいるから大丈夫。

それくらい強いbeの肩書きを持っていると人生がとても生きやすい。

 

だけど、世の中の人の多くはそうではない。社内を見渡しても、そういう風にブレない軸を持って仕事をしている人は本当にまれである。

ひとり一人がbeの肩書きを持てば、自信につながり、人生の目的がわかり、仕事と人生の目的が繋がり、パフォーマンスが発揮される。組織の可能性が最大限引き出される。

個人だけでなく、会社としても成長する。僕のボーナスも上がる。

 

だから、僕は社内の人に一人でも多く「beの肩書き」を見つけてもらうサポートをしようと思った。定時内での実施が難しかった(ワークショップをやろうとすると遊んでいるように思われる)ので、定時外でたくさんやることにした。社員向けの研修紹介メルマガにも載せてもらったので社員参加者が増えた。

 

そして竹林さんというパートナーがいてこその60人である。竹林さんのファンがたくさん集まってくれた。

 

僕の役割としては、竹林さんの話を聴いた人がインスピレーションを受けて、自身の行動に繋げてもらうことである。「beの肩書き」が見つかると次の行動がとりやすくなる。

 

f:id:ScotchHayama:20190727141230j:plain

 

講演の中で、竹林さんがグループ会社の社長になった時のエピソードが印象に残った。

会社は利益が求められるけど、何のために利益を出すのか分からなかったという。その時に上司から言われた言葉で経営者としての一歩を踏み出すことができたという。その言葉とはオムロン創業者・立石一真の言葉を引用していた。

 

企業は利益を追求するもんや

それは人間が息をするのと同じや

そやけど

人間は息をするために生きてるんか?

ちがうやろ

「できません」と云うな―オムロン創業者立石一真 
(湯谷 昇羊 著) より

 

人間は息をするために生きているわけではない。

それぞれの人生の目的のために生きている。

それは「beの肩書き」に繋がる。

 

ドラッカーも言っている。

何によって憶えられたいのか

その問いかけが人生を変える 

 

 

やなせたかしアンパンマンマーチで言っている。

なんのために生まれて
なにをして生きるのか
こたえられないなんて
そんなのは いやだ! 

 

経団連初の女性役員で先日のG20でも女性に関する政策を提言し、その翌日に亡くなった吉田晴乃さんも言っている。

人は誰しも、思い込みやバイアスの呪縛に生きている。
脳の活動を知るとね、
まずは「Belief(信念)」が自分の根幹としてある。
その周囲に「Perception(認知)」があり、
さらに外側に「Behavior(行動)」があるの。
ボールが飛んできたら避ける、という動物的反応は、Beliefがそうさせている。
でも、もし自分をキャッチャーだというInputがあれば、野球のボールが飛んできてもキャッチするでしょう。
そうしてBeliefを変えれば、Behaviorが変わるの。

www.mashingup.jp

 

あなたは何によって憶えられたいのか?
何のために生まれて何をして生きるのか?
あなたの「Belief(信念)」 は何か?

 

それを知るための「beの肩書き」ワークショップ。

 

f:id:ScotchHayama:20190729153253j:plain

「doの肩書き」は仕事の名刺に印刷されている情報。お金が報酬。

「beの肩書き」は自分の幸せを最大化するもの。感謝が報酬。

 

f:id:ScotchHayama:20190729153413j:plain

僕の名刺には「企業文化推進課」と書かれ、企業理念経営や地域貢献活動などを推進するのが仕事である。

そして最近作った個人の名刺にはウイスキーエストロとしてウイスキーの価値を広めるための情報だけが記載されている。ウイスキーの価値を広めるために多様な価値観を繋げて幸せをアゲる(Present & UP)というビジョンを過去の「beの肩書き」ワークショップで作った。

 

f:id:ScotchHayama:20190729153824j:plain

過去の実施経験をもとに、今回は90分のフルバージョンを実施した。途中休憩もはさむのでだいたい2時間くらいを想定している。

 

f:id:ScotchHayama:20190729153916j:plain

チェックインでは「動」を意識した。竹林さんの講演と僕の前段の説明を聴いた参加者は頭は働いているかもしれないが、座りっぱなしなので体が固まってしまっている。

それをほぐすために、立ってもらい、どんどんペアを変えて自己紹介をしてもらう。

同じテーブルじゃない人と早めに交流してもらうことで、全体の雰囲気を掴んでもらう意図もある。

f:id:ScotchHayama:20190727155630j:plain

 

f:id:ScotchHayama:20190729154311j:plain

最初のワークは一人で「beの肩書き」候補を考えてもらう。

前にやったときのbeの肩書き例を紹介したり、子供の頃の夢、現在夢中になっている趣味、好きな食べ物などで考えてもらうヒントを出す。

「動」から「静」へ。内省を促す。

f:id:ScotchHayama:20190727160905j:plain

 

f:id:ScotchHayama:20190729154528j:plain

自分の半生を「beの肩書き」と共に語ることでさらに内省を進める。

僕の事例もじっくり紹介する。

f:id:ScotchHayama:20190729154640j:plain

これを書いてもらいながら、時間を長めにとって書き終わった人は適宜休憩に入ってもらうようにした。休憩中にさらに内省を進める意図がある。

 

そしていよいよメインの3人組でのストーリーテリング

f:id:ScotchHayama:20190729154749j:plain

 

メモ係にタイムキーパーを兼ねてもらうことで、ファシリテーターの僕の負担が軽減される。オートモードである。

f:id:ScotchHayama:20190727165439j:plain

 

ときおり進捗状況を聞きながら時間を調整する。

終わったグループから順次メッセージカードを書いてもらう。聴き手から語り手へプレゼントする。

f:id:ScotchHayama:20190729154937j:plain

 

最後に各自でマウナケア・スケッチを描いてもらう。

f:id:ScotchHayama:20190729155031j:plain

 

カラーペンも使って自由に。

f:id:ScotchHayama:20190729155106j:plain

 

チェックアウトは時間がなかったので数人を指名して感想を聴く形式にした。

結果、誰からも手があがらなかったので「懇親会の時にマウナケア・スケッチを共有しあってください」というアナウンスをした。

f:id:ScotchHayama:20190729155132j:plain

 

最後にアンケートを記入してもらいながら、次のイベント紹介などをする。

 

horoyoiabd2.peatix.com

 

yurumono7.peatix.com

 

アンケートは竹林さんの過去の講演をヒントに金額を書いてもらう形式を試してみた。

logmi.jp

自分の授業にいくらの価値があるか可視化する

もう1人例を出します。僕の友達の大学教授です。(授業が)ものすごくウケてるっていうので聞きに行ったら、彼は産学協同論というのを教えてるんですけど、授業でアンケートを取ってるんですって。そのアンケートがおもしろくて。今までこんなアンケート見たことないんです。紙には横に1本棒があって、「円」って書いてあるんです。

授業が終わったあとに学生にアンケートを配って「今日の授業、君たちがバイトして稼いだ金からナンボ払う?」って聞くんですね。おもしろかったら1万円とか書いてあって、おもしろくなかったら500円とか書いてあるんですね。それを全学生から集めてエクセルで集計するんです。

これでなにがわかるか? 売上が出るんです。原価はなにかというと、お父さんお母さんがその1枠に払う授業料ですね。この何倍儲けたかが、自分の価値やと言うてるんですね。「学生たちが聞かへんから悪いんや!」じゃないんです。プロやったらどうやって聞かすかということに本気になると。そこまでできるんですよね。

 まだアンケートの集計はしていないけど、僕の「beの肩書き」ワークショップがナンボの価値になったか楽しみだ。